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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2022/01/15

新川の上流はなぜ、琴似川と呼ばれるか? 再考②

 本題に関係ないお知らせからです。STV(5ch)「どさんこワイド179」にまた出演させていただきます。
 ↓
 https://www.stv.jp/tv/dosanko_eve/index.html
 “てくてく洋二”コーナーです。今回は北広島を歩いて案内します。放送は1月17日(月)の予定です。よかったらご覧ください。

 本題です。昨日ブログでお伝えしたことを模式図に表わしました。
新川水系 模式図-1新川水系 模式図-2
 本(赤い実線)=新川(本流)、支a(黄色の実線)=琴似発寒川(支流)、支b(橙色の実線)=琴似川(支流)
 上方が下流、下方が上流です。直線的・一体的に開削された人工的水路の新川をそのまま示すと右側の図になります。一方、その新川の上流部を琴似川としたのが左側の図です。現在の川名は前者に基づきます。

 昨日ブログで紹介した説明によれば、右側だと都合が悪いので左側になったというのです。これは川の本流・支流の決め方に起因します。本流・支流は「流量の多少や流域面積の大小がその目安とする見方があるよう」です(末注①)。「両河川の本支流を決定するには両河川の合流点において、多量の水量を流下してくるものをもって本流とする」(末注②)という考え方に基づきますが、そうすると右側の図は混乱を生じます。支a(琴似発寒川)のほうが支b(琴似川)よりも流量が多く、流域面積が大きいからでしょう。支a>支bです。ところが右側の図だと、支bの一部が本流とみなされます。そうすると本<支aという関係になってしまうので、まずいというわけです。

 疑問は残ります。「両河川の合流点において、多量の水量を流下してくるものをもって本流とする」考え方を貫くならば、本流は本来、下掲図に示すとおりです。
新川水系 模式図-3
 支流である琴似発寒川(冒頭前掲図の支a)が、本流とみなされます。とすると、琴似発寒川も新川と呼ばなければならない。人工的水路たる新川の上流部に自然河川名の琴似川をかぶせるのみならず、自然河川たる琴似発寒川に人工的水路名の新川をかぶせる。これは、「いくらなんでも」です。現在の川名は結局、“原則”と“現実”の妥協の産物で落ち着いたということでしょうか。せいぜい新川の上流部の命名変更くらいなら、さほど影響はあるまい、と。
 昨日ブログに記したとおり、私はこの考え方に似た説明を一昨年、聞いたことがあります。この考え方は結局、新川あるいは新川水系をどう理解するかという根本に関わってくるのですが、長くなったので本日はここまでとします。

 注①:榎本洋介「どこまでが新川か?」『公文書館だより』第9号2021年12月
 注②:同上文中で引用されている北海道大学の申述。北大のどのような立場の人の見解かまでは記されていない。
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
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