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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/11/21

“最古の札幌軟石”は、どこで採られたか?(承前) 

 千歳市にある「キウス周堤墓群」は縄文時代後期に造られたといいます。今から3,000年以上前です。そこで墓標とおぼしき石柱が見つかっています。“最古の札幌軟石”もしれません。私がこの出自を気にするのは、縄文人がわざわざ札幌軟石を見つくろったことに心を打たれてしまったからです。われわれの(と複数形で語る)札幌軟石愛は、昨日今日のものではなかった。3,000年来、脈々とDNAに刷り込まれていました。いや、これは冗談です。
 気にする理由をあらためて整理すると、どうもこの軟石はご近所から見つけてきたのではないらしいことです。石柱の長いほうは172㎝というので(11月19日ブログ参照)、縄文人の大人の身長より高かったことでしょう。仮にかなり遠くで見つけたとして、どうやって運んだのか。えっちらおっちら運んで死者を弔う一種のモニュメントを立てた精神性が気になったのです。
 縄文人の行動(交流)範囲が広かったことは知られています。道東産の黒曜石(でできた矢じりなど)が道央圏で見つかるどころか、本州産のヒスイが道内で見つかったりしているのにはロマンを感じますが、モノの規模(サイズ、重さ)からすると物理的には可能だなと納得できることです。墓壙に副葬品をお供えすることも、その芸術性などに感銘を受けつつ、近場の素材なら合点が行きます。三内丸山遺跡の巨大な掘っ立て柱も、「縄文時代にあれだけのモノを作ったのか」と驚嘆はすれども、まあなんとか想像の範囲内です。
 人の背丈を超えるほどの石材となると、「そもそも、どうやって運んだのか?」が気になります(末注)。まったく不可能、ではないとはいえ、大変な労力を要したことでしょう。そこまでして、死者を祈念したかった。その「そこまでして」の具体的仕事量に惹かれます。

 千歳市埋蔵文化財センターに展示されている「火山灰がつくった大地」の説明です。
千歳市埋蔵文化財センター展示「火山灰がつくった大地」
 次のように書かれています(引用太字)。
 今から4万2千年ほど前、大噴火を起こした支笏火山からは、最初に火山灰が噴出し、一帯に降りつもりさらに大規模火砕流が発生しました。火砕流とは600度の高温の火山灰・軽石・ガス・水蒸気などが混ざり合い火口から高速であふれ出るもので低い土地や谷を埋め尽くしました。深い谷では厚さ200mにも達し、溶けて固まって「溶結凝灰岩」になったところもあります。苫小牧市に隣り合う美々地区では、火山灰と火砕流の厚さを合わせると60mもあります。噴火後にできた川など浸食作用により現在の地形の大まかな姿がこの時代につくられました。1万7千年前になると、支笏湖北西側の恵庭岳が噴火しました。激しい噴火により市内でも4~5mの厚さの軽石が堆積しています。(後略)
 この説明からしても、本件墓標たる「(支笏)溶結凝灰岩の柱状節理」が露頭するのは急峻な浸食谷と想像されます。

 あらためて地質図(昨日ブログ参照)でキウス周堤墓群の位置を確かめます。
シームレス地質図 千歳市キウス
 同じ一帯を陰影起伏図で俯瞰します。
陰影起伏図 千歳市キウス
 支笏溶結凝灰岩の柱状節理はどこで露頭している(いた)か。 

 注:余市町の「忍路環状列石」(縄文後期)に用いられた石は、現地から約10㎞離れたシリパ岬で見つかる輝石安山岩の柱状節理だという(『図説 日本の史跡1 原始1』1991年、p.251)。
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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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