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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/06/27

境目は、やはり面白い⑭ 境目の川の名

 西21丁目と西22丁目の旧市町界を流れていた川について、6月24日ブログ末尾で「この川は、流れていた当時、何と呼ばれていたのでしょうか」と問いました。
 「この川」を地形図で確認しておきます。
大正5年地形図「札幌」 札幌区、藻岩村境界付近 川
 1916(大正5)年地形図「札幌」に水色でなぞりました。川に沿って一点鎖線で境界線も引かれています。当時は東側が札幌区、西側が藻岩村でした。
 この川の名前が、古地図でなかなか出てきません、上掲地形図でも、鉄路の北に流下して他の川と合流したところで「琴似川」と記されているのみです(赤いで囲ったところ)。

 同時期に民間で市販された下掲図を観ます。
札幌市街之図大正7年 札幌区、藻岩村境界付近 琴似川
 北海石版所発行「札幌市街之図」1918(大正7)年から抜粋しました。くだんの川に「琴似川」と添え書きされています(赤い)。ただしこの間逍遥してきた流域より少し下流です。この地図には描かれていませんが、冒頭の地形図で明らかなように鉄路の南側で西側から別の川が合流しています。
 一方、現在の知事公館や植物園から発している川の下流に「琴似川支流」と書かれています(橙色の)。さらにその東方、「東北帝国大学」の下流部の川も「琴似川支流」です(黄色の、末注①)。この書かれ方からすると、本件境界の川が琴似川の本流であるかのようです。

 これらの川の名前のことは、すでに山田秀三先生が『札幌のアイヌ地名を尋ねて』1965(昭和40)年で言及しています。以下、引用します(太字、p.47、原文ママ)。
 「札幌市史」に、昔の札幌区と円山村の境界が『西二十一丁目線ポンコトニ川の辺にあった。』と書いてあり、又同書に載せた「札幌扇状地古河川図」の中にも、それに当たる川にポンコトニ川としるしてある。この川は今でもある程度流れていて、現名は『旧円山川』というのだそうだ。
 ところがこの旧円山川は西側のケネウ(後述。現称の琴似川)の水系に繋る川で、どう考えてもアイヌ時代のコトニ水系の支流では無い。川の名も時に移転する。アイヌ時代に、もっと東にあった川名であるが、明治になって引越しをして今の旧円山川の名として使われたのでは無かろうか。


 コトニ水系に関する山田先生の考察はまだまだ続きますが、いったん区切ります。先生が触れた『札幌市史 政治行政篇』1953(昭和28)年(旧市史)の「札幌扇状地古河川図」は以下のとおりです。
旧市史 札幌扇状地古河川図 ポンコトニ
 本件境界の川とおぼしき流路に、たしかに「ポンコトニ」と添えられています。赤いで囲ったところです。なお、先生に倣い、この川を今後「旧円山川」と呼びます(末注②)。

 旧円山川を「ポンコトニ」とするのは、山田先生の根源的疑義もさることながら、前掲大正7年「札幌市街之図」とも齟齬をきたします。「ポン」(アイヌ語で「小さい」)コトニならばコトニの支流であってしかるべきところ、前述したとおり「札幌市街之図」では東方の川が「琴似川支流」とされ、本件旧円山川が「琴似川」本流であるかのごとき表記だからです。

 注①:現在の「サクシュ琴似川」である。
 注②:現「円山川」は、円山西町を源流として円山公園を流下し、北1条・宮の沢通あたりで暗渠となって界川の暗渠部に合流する川である。
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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