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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/05/29

美国憧憬

 ウン十年前の高校時代、世界史の授業で聞いた話の切れ端が記憶に残っています。
 曰く、建築は国や時代を象徴している、と。例えに出たのは、古代エジプトのピラミッドと東京の郊外の公団住宅の団地でした。代表的、ランドマーク的な建築や景観を指したのでしょう。ピラミッドを含めて建築と言ったかどうか正確には忘れました。名古屋大学文学部で西洋史を専攻したという“本格派”の先生の薀蓄だったこともあり、なるほどなと思った覚えがあります。

 二十数年前の米国シカゴです。
シカゴ シアーズタワーからの眺め 1996年
 1996(平成8)年、超高層ビルからの眺めを撮りました。

 今は名前が変わったようですが、シアーズタワーからの眺めです。
シカゴ シアーズタワー 1996年
 地上110階建て・高さ443m(建物本体)で、当時は世界一高いビルでした(同タワーのリーフレットによる)。シアーズというのは、いわゆる通信販売を巨大ビジネスにした会社だったと思います。そのシアーズも近年、経営破綻したと聞きます。栄枯盛衰です。それはともかく、私は文字どおりお上りさんになって地上412mのところにある「スカイデッキ」まで上り、眺望を楽しみました。

 シカゴは「建築のデパート」のような都市です(2014.9.19ブログ参照)。19世紀末から20世紀初頭にかけて、近代建築が百花繚乱と街に咲き誇りました。米国の発展や繁栄と軌を一にするかのように摩天楼群を築き、現代に至っています。その象徴がシアーズタワーでした。
 前掲写真をアルバムから取り出したのは、冒頭の箴言にかこつけて想いを巡らせる気持ちが湧いたからです。米国の摩天楼群は何を象徴しているのだろうか? “豊かな国” “自由” “夢を実現する機会”…。

 シアーズタワーのスカイデッキから、西の眺めです。 
シカゴ シアーズタワーからの眺め ウエストサイド
 中西部の大平原(プレーリー)に陽が沈みます。
 
 米国の主だった都市に対する私の印象は、というほど知ってはいないのですが、類型化されています。中心部のいわゆるダウンタウンに摩天楼群が聳え、その周囲にインナーシティや工場群を抱え、さらに郊外に上中流層の住宅街が広がる。
 シカゴも、ループ(高架鉄道)に囲まれたダウンタウンに超高層ビルが林立し、上掲の西方面はウエストサイドと呼ばれるインナーシティがかなりの広さで続いています。オークパーク(2019.5.19ブログ参照)のような高級住宅街はさらにその郊外です。
 
 私が訪ねた当時、東部ペンシルベニア州に住んでいた学生時代の友人に教えられたことには、治安のいい地域とそうでないところがものすごくハッキリしているのが米国の都市でもあります。面白半分でいわゆるスラムに足を踏み入れたりしては絶対にイケナイ。冗談ではなく、生きて帰ってこれなくなります。ダウンタウンは日中は人通りがあってさほど心配はないが、夜8時9時を過ぎたらいっきに人けがなくなるので要注意(ホワイトカラー層は地下鉄やバスを使わず、マイカーで郊外へ帰る-末注①)。ホテルに帰るのが夜になってしまったら、車道の真ん中を歩くこと。ビルの物陰から強盗に襲われたとき、歩道よりは逃げる時間を稼げる。
 シカゴでは、ダウンタウンから西郊のオークパークへ、高速鉄道と各駅停車の高架鉄道の二本が通じています。オークパークに行くのに、後者に乗ってはいけません。途中のアブナイ地域の駅に停車するからです。車内で襲われたら、なかなか助かりません。高速鉄道のほうは治安良好地域までノンストップなので、安心です。インフラが二種類、必要な社会ともいえます。

 前掲の摩天楼群とその眼下に広がるインナーシティは、米国社会の一面を象徴しているのかもしれません。一握りに集中する莫大な富。激しい格差。新型コロナウイルス感染症の死者は10万人を超え、黒人の死亡率は白人の2.4倍(末注②)。
 一方で、学術研究や産業(とりわけ情報技術)の水準は世界最先端です。ワクチン開発などほかならぬ感染症医療も先進を担っています。わが国で学校教育の9月スタートが(最近特に)喧伝されたり、英語学習がことさら重視されるのは、かような米国が「標準」であることに大きな一因がありましょう。
 しかし、その国際標準の行き着く先に、どのような具体像が描けるのだろうか。

 注①:あくまでも二十数年前の話である。いまはそれこそ在宅勤務とかが進んでいるのかもしれない。すると、中心部の高層ビル群の床面積を占めるオフィスはどうなるのだろう。
 注②:北海道新聞2020年5月29日朝刊記事「米死者10万人超す 人種間格差浮き彫りに」。トランプ大統領は「私が迅速に行動しなければ死者の数は25倍になっただろう」と嘯いた由。
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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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