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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/05/27

札幌扇状地平岸面のミッシングリンク ②

 小泉川のことは郷土史の文献などに散見されます。しかし、これを扇状地平岸面と結び付けたり、ましてや下流部の小沼川や白石川、トイシカラメムとつなげたりした記述は管見寡聞にして知りません。そもそも札幌の扇状地、豊平川が作った扇状地というと、「札幌面」の注目度が高かったと思います。
 
 既出文献で札幌扇状地に言及している箇所を拾いました。
『新札幌市史第1巻通史1』1989年、第1章第3節「扇状地と河岸段丘」pp.9-11…平岸面と札幌面の形成を概説
同上 第4章第3節「扇状地堆積物」pp.79-83…札幌扇状地の特性を全般的に記述。メム、鴨々川。札幌ビール工場と北大医学部で掘削した地質柱状図の分析
『さっぽろ文庫44 川の風景』1988年、第1章「風景の変遷」
 「1 札幌扇状地・川の原風景」pp.12-30…札幌面の河道変遷、メム
同上 第4章「川に沿って」
 「1 豊平川」pp.158-162…扇状地形成の歴史、豊平川の流路
『さっぽろ文庫77 地形と地質』1996年、第1章「川の流れが運んだ台地」
 「1 扇状地とは」pp.32-40…扇状地地形について解説。札幌扇状地のメムを紹介 
 「2 札幌の扇状地」pp.40-49…平岸面、札幌面を説明
 「『メム』と人」pp.49-53…札幌面サクシュコトニ川のメムを詳述
 「琴似・山鼻集落での屯田兵」pp.54-57…札幌面、琴似発寒川扇状地上に形成された屯田兵村の歴史
 「3 豊平川扇状地と洪水の歴史」pp.57-68…「死んでしまった扇状地」平岸面、「生きている扇状地」札幌面。札幌面の地質断面図の分析
 「開拓使時代の札幌」pp.75-77…明治初期、札幌本府創建の歴史
 「4 扇状地と地下水」pp.77-87…札幌面の地下水位観測の分析
 「5 土地利用と地下水位」pp.87-96…同上
同上 第2章「高い丘・低い山」 「宅地化された平岸段丘」pp.140-144…「古い扇状地の削り残し」の段丘面としての平岸、開拓前後の歴史
『札幌の自然を歩く」2011年 
 「Ⅰ 札幌中心部から石狩湾へ」p.4…札幌扇状地湧水、サクシュコトニ川
 「Ⅱ 豊平川の上流へ」pp.23-24…精進河畔公園にみる平岸面の堆積物 
『豊平川と私たち-その生いたちと自然』2011年、第1章「母なる川-豊平川」pp.13-19…豊平川の流路の変遷、名称の由来、扇状地の形成、メム
『新版 歩こう! 札幌の地形と地質』2016年、第2章「街を流れる川」
 「札幌都心部(1)メムの流れを追う」pp.40-43…札幌面のメム、知事公館、植物園、偕楽園緑地、サクシュコトニ川
 「札幌都心部(2)扇状地に残る微地形」pp.44-47…南12条付近、電車事業所前、山鼻9条
 「精進川 札幌扇状地の成り立ちを探る」pp.48-51…精進河畔公園、平岸面の地層、特徴
同上 第3章「豊平川沿い」 
 「石山 札幌の街を造った石」p.83…真駒内、古豊平川による平岸面形成
札幌市博物館活動センター『ミューズレター』№66、2017.2「街の魅力、お散歩しながら体感しよう! -平岸は安全な段差の町?-」…かつての豊平川が削った「平岸高台公園」の崖、平岸面の痕跡、川跡の名残の道、軌道

 冒頭で「『札幌面』の注目度が高かった」と前述したのは、私自身の不勉強を棚に上げての、いわば固定観念です。札幌扇状地-メム-水の恵み-古代、アイヌ文化期の拠りどころ-草創期札幌の産業基盤という刷り込みで、札幌面に目を向けがちでした。ただ、前掲先行諸文献をざっと俯瞰する限りでも、扇状地の新旧形成→新しい札幌面の特徴の考察、が主流に見えます(末注)。古い平岸面については、札幌面との文字どおり差を見せつけている段丘面の言及が中心です。これは平岸面が「死んでしまった扇状地」(前掲『さっぽろ文庫77 地形と地質』「3 豊平川扇状地と洪水の歴史」)で、札幌面に比べて実証的・科学的に分析しづらいのかもしれません。また、市民向けには(精進河畔の段丘面、“へり”は別として)特徴が目立たないきらいもあります。私自身、新旧両面面の段差あたりで思考停止していました。平岸リンゴについても、「古い扇状地面で水はけが良く傾斜地だったので、果樹に向いていた」程度の理解です。

 例によって、学術的な研究が及びづらい分野は、いいかえれば妄想をはびこらせやすい世界です。  

注:つい最近刊行された札幌市文化財課編『札幌市文化財保存活用計画』2020年3月では、札幌市の「地形・地質」の「中央部、扇状地」の項を端的に、以下のとおり記述している(p.13、太字)。
 札幌中央部は、南西部産地と南東部丘陵地・台地の間を北部低湿地へと流れる豊平川が作った扇状地です。豊平川は、およそ4万年前以降に真駒内・平岸方面に流れて旧豊平川扇状地(平岸面)を形成し、氷期の明けたおよそ1万年前以降に流路を変えて現在の豊平川扇状地(札幌面)をつくったと考えられています。
 豊平川扇状地の扇頂は真駒内付近の標高約100m、扇端部の北海道大学、札幌駅付近は標高15~18mです。扇端部では、かつて地上に湧き出た伏流水が池や流れを作っていましたが、その痕跡は、現在も北海道大学附属植物園(以下「北大植物園」という。)などで見ることができます。

 限られた文字数で最大公約数的・簡潔明瞭に札幌扇状地を説明するとなると、こうなるのだろう。
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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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