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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/05/22

白石区と豊平区の区境をめぐる地理的特異点 ⑨

 5月19日ブログを私は「実際に古くからお住まいの方の心境を伺いたいものです」と締めくくりました。昨日ブログの札幌軟石建物の解体地めぐりの帰途、豊平区・白石区境の地理的特異点に足を延ばしたところ、幸運にもその機会に恵まれました。特異点に古くからお住まいの方への聞取りをお伝えします。

 まずは、おさらいからです。本件地理的特異点を色別標高図で俯瞰します。
色別標高図 豊平区・白石区境特異点 用水路、小泉川加筆
 元図は標高20m未満から1mごと32m以上まで14色段彩で作りました。
 
 赤い実線でなぞったのが豊平区と白石区の区界です。真ん中のアミ掛けしたところでクランク状に折れています。このクランクは、いわば線的な特異点です。区界は、アミ掛けしたところ以外では白ヌキ実線の東北通と重なっています。つまり東北通を境にして、北東側が白石区、南西側が豊平区です。しかし、アミ掛けしたところだけは、東北通の北東側ながら豊平区に属しています。区界線がアミ掛けのさらに北東側に通じているからです。アミ掛けの南西側を東北通が後になって短絡したため、結果として豊平区が例外的に東北通の北東側に生じました。これは、面的な特異点といえます(線的な…点とか、面的な…点というのも変ですが)。
 この特異点をはさむようにして、かつて農業用水が二本、通じていました。濃い青と水色の実線でなぞったのがその流路跡で、明治時代に掘られた連合用水の第1号と第2号です。さらに、この付近には自然河川も流れていました。たぶん小泉川(5月17日ブログ参照)とその支川です。その河道跡を推測して水色の破線でなぞりました。これは、次なるテーマへの伏流水ならぬ伏線です。
 
 さて、アミ掛けした面的特異点の中に、私は初めて足を踏み入れました。
 アミ掛けの区域は、町名でいうと東北通をまたいで豊平区美園1条1丁目、1条2丁目です。たまたま家の外に男性が出ておられました。戸建のお宅です。これはもしやと、思い切って「つかぬことですが」とお尋ねしました。お会いしたTさんは1950(昭和25)年にこの場所で生まれ、育ったそうです。そのTさんとのやりとりを以下、記します。
 私:(地図を見せながら)東北通のこちら側(北東側)は、ほかでは全部白石区東札幌ですが、この場所だけ豊平区の美園ですよね。
 Tさん:ここはそうだね。
 私:それが不思議だったんですが、何か事情があったんでしょうか?
 Tさん:うーん。たしかに、ここだけ違うんだけども…。
 私:ここだけ東北通を豊平区がまたいでいるということで、何かご不便とかはなかったですか?
 Tさん:いやあ、特にないねえ。
 私:ほかが(白石区の)東札幌だから、ここも白石区に入れてほしいといったご要望もなかったですか?
 T:自分が知る限りでは、なかったねえ。

 私:古い空中写真を見ると、昭和30年代くらいまでは田んぼが広がっていたみたいですが。
 Tさん:(東の方を指して)ずっと田んぼだったね。
 私:川は流れてませんでしたか?
 Tさん:(横丁通を指して)そこに流れてたよ。今でも(道の)下を流れてるんでないかな。あと、むこうの豊園小学校の前の道も。子どもの頃、よく魚を捕ったな。
 私:水が溢れたというようなことはなかったですか?
 Tさん:(北側を指して)生まれて70年の間に冠水したのは1回か2回ぐらいかな。大雨でね。

 5月19日ブログに載せた1948(昭和23)年空中写真で、特異点をあらためて眺めます。
空中写真 1948年 白石村・豊平町・札幌市境界 市町村名加筆
 特異点は豊平町の白石村との境界、のてっぺんのあたりです。
 この写真を観ると、特異点の一帯に人家らしきはごくわずかしか写ってません。前述のTさんが生まれた1950(昭和25)年はこの写真の2年後ですので、Tさんはたぶん、この土地を古くから知る数少ない一人と察します。住民感情の総意をTさんお一人の“証言”だけで判断はできませんが、その一端を窺い知ることができました。
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≪ 石の蔵のしるしホーム軟石建物 2020有為転変 ≫

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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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