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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/04/30

新型コロナウイルスの感染と地域性 ③

 新型コロナウイルスの「感染者率」を全国都道府県ごとにみたとき、北海道は引き続き上位を占めています(昨日ブログ参照)。加えて、「内地」が2週間ほど前に感染のピークに達したのち右下がりであるのに対し、本道(最近この言い方はあまりしない)はなおも上昇傾向です。
 
 北海道で増分がなかなか低下に転じないのはなぜでしょうか。年度末期の人の移動とか海外からの帰国者の増加といった全国的な状況だけでは説明できません。本道はもともと、全国に先立って感染者が増えました(3月3日ブログ参照)。法律に基づく緊急事態宣言に先立って北海道知事が独自の宣言を出したのは2月の末です。その実施期限は3月19日でした。
 その後、政府が4月7日に法律に基づく宣言を発した当初、本道はその対象地域に含まれていません。この時期、本道はむしろ「コロナ疎開」先となったようです(末注①)。4月16日、政府は本道を含む全国に宣言の対象地域を拡げました。「『沖縄、北海道では新しく陽性になった方のうち、地元でない方が圧倒的に多い』。菅義偉官房長官は16日の記者会見で、人の移動が事態を悪化させているとの認識を示し、対象地域拡大に理解を求めた」(末注②)。
 政策上のタイムラグとかその間のリバウンドといったことも考えられるのでしょうが、「それにしても」と私は思います。「人の移動」が感染蔓延のきっかけになったにせよ、首都圏や関西圏からの動きがあった他の地方に比べて、本道は増分が著しいのではないでしょうか。 
 
 ついつい、風土だとか地域性にあとづけ的な答えを求めたくなります。北海道は寒い。寒いのは外気であって、家の中は暖かい。つまり気密性の高い寒冷地仕様の建築。ということはすでに3月3日ブログで記しました。ウイルス感染を防ぐために厚労省が国民に呼びかけた「3つの密の避けましょう」(末注③)の「密」の一つは「密閉」です。本道の風土とこれに適うべく密閉度の高い住環境は、疫禍の条件に増幅作用しているのではないか。
 「密閉」の対義語は何でしょうか。「疎開」です。テーマに即して言い換えれば「換気」ですが、本道の冬季は特に寒い。というか、室内と外気の差が大きい。統計的な根拠を持ってはいませんが、「内地」に比べて本道は冬場に換気する頻度が低いように思えます。個人的な体感で言うのは気が引けつつ、寒気に換気するのは辛い(注④)。
 建築の高気密性ということで付け加えると、開口部の二重性もあります。出入口や窓が二重というのがいわば標準仕様です(内地の住宅で「玄関フード」は、私はほとんど見たことがない)。ウイルス感染の要因の一つである「接触」のリスクとしてドアノブなどが挙げられています。扉が二つあるということは、単純に考えて接触リスクが二倍です。これもデータなしの個人的印象ですが、接触しないで開閉する自動扉も、冷気流入を減らすためボタンで操作する場合が多いようにも思います。
 風土ということで、もう一つ。マスクです。数年前に内地を旅行したとき、マスクを付けている人が多いなあと感じました。春先のスギ花粉が舞う時期だったのです。本道はこれからシラカバ花粉の時季ですが、内地の2-3月はこのたびの疫禍がなくても、おそらくマスクをしていた人が多かったでしょう。もしかしたら、これが内地で抑制に作用したかもしれません。
 これも風土に含められるかもしれませんが、札幌の医療福祉事情です。本道では、「地方」に比べて病院や高齢者施設が札幌に比較的集中しています(ここでいう「地方」は道内の他地域という意味)。ということはクラスター(集団感染)発生のリスクも高いということになりましょう。

 本日の報道によると、北海道知事は道民に対して「都市封鎖に相当する行動自粛」を呼びかけました。 

 注①:4月6日ブログ参照。「『コロナ疎開』とはひどい言葉だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が出された東京などから地方への移動を『疎開』になぞらえ、批判する風潮がある。道内に帰省しようとする人にも迷いや不安が広がっているという」(北海道新聞2020年4月10日コラム「卓上四季」)。表現の適否はともかくとして、現今は帰省や里帰り出産を含む都道府県間の移動自粛を求められている。
 注②:北海道新聞2020年4月17日記事「全国 緊急事態 首都圏からの移動 阻止」
 注③:厚労省サイト「新型コロナウイルス感染症について」ページによれば、「3つの密を避けましょう」が公表されたのは3月28日。これに先立ち同省専門家会議の3月19日「分析・提言」では、「3つの条件が同時に重なる場」の活動自粛が提言されている。
 注④:北海道新聞4月21日記事によると、JR函館本線の普通列車内で車窓を開けて換気しようとした車掌への暴行容疑で乗客が逮捕された。換気はもちろんウイルス対策だったが、「寒い」というのが暴行の動機だったらしい。逮捕された乗客は札幌の放射線技師だった。「寒い」気持ちはわかるが、暴行はいけません。
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Comment

コロナウイルスの感染と地域性ということであれば、道民の喫煙嗜好という視点も考慮した方がいいかもしれませんね。
道民は他都府県民よりもタバコを好む傾向がありますから特に喫煙者の肺機能とウィルスの関係に関心を持つのもありかと思います。

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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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