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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2019/12/09

なぜ月寒が北日本の軍事拠点になったか。(承前)

 UHB「みんテレ」“となりのレトロ”のコーナーは前身の特集も含め、一年続きました。観てくださっている方々のおかげです。つい繰り返してしまいますが、道路のクランクやら札幌軟石の仕上げやら、円形歩道橋の成り立ちやらが“公共の電波”に乗る時代になるとは、一昔前には想ってませんでした。ありがとうございます。
 私はロケハン(下見)とロケ本番に出ますが、放送局の部外者なので編集には立ち会いません。毎回、どんなふうに“切り貼り”されるか、冷や冷やものです。しかし、局のスタッフはさすがにお手の物で、うまく仕上げてくれます。ADのEさんは私よりかなり若いのですが、“人間”ははるかに出来ている人です。私の珍奇なこだわりに辛抱強くつきあってくれる“寛大な”局の皆さんにも、
感謝します。

 本日の番組でお見せした色別標高図です。
標高図 標高20m未満から10mごと7色段彩 旧千歳線、月寒
 標高20m未満から10mごと7色段彩で作りました。白ヌキ実線が旧千歳線(元北海道鉄道)、赤い○が月寒(つきさっぷ)駅、白ヌキ○が北部軍司令部、同じく□が歩兵第25連隊(末注①)のそれぞれ跡地です。

 北海道鉄道は苗穂から、鉄路を逆S字状に不自然なほど湾曲させて敷かれました。私は、月寒の25連隊へのアクセスのためと番組で伝えました。したり顔で最新知見であるかのように言うことではないのですが、さりとて、根拠付ける一次史料を見出してもいません。推理の域であることを申し添えます。
 北部軍司令部の立地については、番組で私は「これは私の想像」と断って、岬の突端のような地形が理由に挙げられるとと述べました。あとから漁った既往文献で、次のように記されています(末注②、引用太字)。
 標高50mの高さは、札幌の町並みを一望できる高台に位置している。軍司令部の西側、つまり裏側に位置する防空作戦室も同じ標高の環境にあり、周囲には原野が広がっており、高い受信アンテナを建てても電波障害が少なく、送受信に最適地であった。

 番組の終盤、スタジオの面々が話す場面で写された古写真です(つきさっぷ郷土資料館展示から)。
陸軍特別大演習1936年 歩兵25連隊 営内運動場
 これは北部軍当時ではありません。1936(昭和11)年の陸軍北海道特別大演習のとき、歩兵第25連隊の営内で撮られたものです(末注③)。写っているのは将校で(末注④)、弘前の第八師団も参加しています。よって、この風景をもって「こんなにたくさんの兵隊さんが月寒にいた」というのは正確ではありません。ただし、北部軍司令部には千人単位での軍人及び軍属が所属していたそうです。これは既往資料(末注⑤)だけでなく、北部軍司令部に軍属として勤めていた女性からもこのたびお聴きしました。現在95歳の方です。防空作戦室に勤めていた方の“証言”は既往文献で読みますが、司令部にいた方の話をしかも直接お聴きするのは、私は初めてです。おって拙ブログで綴ります。
 
 注①:札幌郷土を掘る会『写真で見る札幌の戦跡』2010年、pp.41-47による。
 注②:札幌市文化財課『北部軍管区司令部防空作戦室記録保存調査報告書』2009年、p.29 防空作戦室の歴史については西田秀子さんが執筆
 注③:現在の札幌月寒高校の位置とされる。前掲『『写真で見る札幌の戦跡』p.80参照
 注④:つきさっぷ郷土資料館秋元館長さんのお話
 注⑤:西田秀子作成「札幌は軍事都市だった?!-1945年の札幌-空襲・敗戦・占領-」札幌建築鑑賞会「札幌百科」第14回2017年3月4日資料によると、1943(昭和18)年北部軍司令部に防空作戦室開設(3000人)。この3000人という数が月寒の司令部だけを指すかどうかは西田さんに未確認。うち女子通信隊員(軍属)は1945(昭和20)年1月時点で262人。
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≪ 「南3西18」の標識ホーム北部軍司令官官邸が建てられた頃 ≫

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昭和38年 遠い記憶ですが、脳裏にあるこの場所の風景。高いアンテナ塔が建っていて、急坂の下側には、まだまばらな白石の街並みと、さらにはるか遠くまで見通せる景色が広がっていました。

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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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