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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2019/09/30

たとえばこれから北の大平原ですが、ところどころ小山が見えていますね。なにか変った点にお気がつきませんか?

 ピートモスを分けてもらいました。
ピートモス
 私はこれまで、園芸用の肥料くらいにしか思ってませんでした。

 正確にいうと、土壌改良剤ですね。ということを知ったのはつい最近です。しかも、これが泥炭を原料としていることも。泥炭を乾燥させたものですが、もともとの泥炭の密度は1㎤当たり1.0~1.05gで、水の密度とほとんど同じだそうです(末注①)。「土全体の体積に対して空隙の占める割合」(末注②)は90~95%。ここでいう空隙とは水と空気を指します。ずぶずぶですね。「乾燥させた」と記しましたが、ピートモスをジップロックに密閉させたら、水滴が付きます。
 札幌の北西部から南東部にかけて広がる泥炭地は、排水や客土を重ねて人びとのくらしやなりわいを可能にしました。いわば厄介者だったわけですが、その泥炭が保湿性という長所を生かして園芸に役立っている。改良されるべき客体としての土壌が、土壌を改良する主体に転化した。

 私はこれまで拙ブログも含めて、わかったようなふりをして札幌の土地の成り立ちを語ってきました。泥炭もその一つです。しかし、泥炭地は私自身の原風景にはありません。正直言って、泥炭の実物(を乾燥させたピートモス)をしげしげ鑑みるのも、生まれて初めてです。こういう実物を見るにつけて、北海道は異国だなあとあらためて思います(ここでいう異国は隠喩ですと念のため断らなければならないのは面倒くさいが、措く)。
 私が連想するのはコナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』です。この小説の舞台となった英国のデヴォンシャー地方というのは、泥炭地ではなかろうか。ホームズ物の短編『白銀号事件』は、同じ地方のダートムアを舞台としています。地名としての綴りはDartmoorですが、私はdirt(泥)moor(湿地)だと一人合点していました。中学のときに読んだエミリー・ブロンテの『嵐が丘』も、今から思うと泥炭地か。荒涼たる原野に心惹かれたものです。私が北海道・札幌に吹き寄せられていったのはかような追体験によるのかもしれません。

 『バスカヴィル家の犬』では、登場人物の一人が沼地に通じています。ひとくちに沼地といっても、人が歩けるところとずぶずぶ沈んでしまうところがあるのです。知らずに後者に足を踏み入れると、命にかかわります。物語の舞台効果を高めるこのずぶずぶは、いわゆる「ヤチマナコ」ではなかろうか。この臨場感は、札幌に来てあらためて抱きました。
 ホームズ物を文化地質学的に読み解くのも、シャーロキアンの新たな醍醐味でしょう。いや、もう誰かがやっているか。

注①:『さっぽろ文庫77 地形と地質』1996年、p.222
注②:同上。
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≪ 平岸イーストセンターにあった池ホーム平岸イーストセンターに見る反転風景 ≫

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う〜ん ホーストレッキングには最適かな〜(^^)

Re: タイトルなし

> う〜ん ホーストレッキングには最適かな〜(^^)
おぉ、ドクター・ワトソン!

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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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