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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2019/08/19

南郷通のファミレス跡に遺る伝説 続報

 昨年12月5日ブログで「南郷通りのファミレス跡に遺る伝説」を記しました。厚別区厚別南の元ファミリーレストランの地下駐車場に幽霊が出るという伝説です。地元の小学校で語り継がれてきました。その場所にかつてあった池に子供がはまって亡くなったことが“根拠”となったようです。子どもが池にはまったことが史実なのかどうか、このたび判りました。

 北海道新聞1969(昭和44)年10月19日記事です。
道新19691019 ひばりが丘団地貯水池水死事故記事
 「団地の貯水池で水死 フナ釣り 仲良し坊や二人 ひばりが丘」という見出しで報じています。「厚別区民歴史文化の会」でご愛顧いただいているO先生から、コピーをいただきました。以下、全文を引用します(太字、文中個人名は実名を伏せ、イニシャル表記とした)。

 (リード)
 十八日午前十一時ごろ、札幌市厚別町旭町九九○、ひばりが丘団地付近の水田貯水池(幅約三十メートル、長さ約百五十メートル深さ約二、三メートル)で、フナ釣りをしていた同町四九二、会社員Yさんの長男、Kちゃん(五つ)は、誤って池にすべり落ちた。一緒にいた同住所、会社員Kさんの二男、Tちゃん(六つ)が服をぬぎ、飛び込んで助けようとしたが、おぼれて行方不明となり、Tちゃんと双生児のHちゃん(六つ)が約二百メートル離れた自宅にかけつけ、母親のSさん(三七)に知らせた。札幌市消防本部、道警パトカー札幌東署などの約三十人がゴムボートなどで捜索した結果、Kちゃんは約三十分後、またTちゃんは同日午後一時ごろ、いずれも現場付近で水死体となってみつかった。

 (本文)
 KちゃんとTちゃん兄弟は近所同士で、午前九時ごろ、釣りザオを持ったKちゃんといっしょに池に行った。Hちゃんは兄が飛び込んでおぼれるのを見て、すぐそばにある人家に助けを求めずに、道路を隔てた団地の自宅に走り込んだもので、うわごとのように『お兄ちゃんがいなくなった』と繰り返していた。
 (小見出し)
 バラ線切れたまま ずさん過ぎた安全管理 
 (本文)
 同団地はもともと水田地帯で、この池は厚別貯水池利用組合(S組合長、加盟農家二十三戸)が管理する水田用の貯水池。現在同団地の中にある中央公園も同組合の貯水池を埋めたてたもので、埋めたて前の四十一年には水遊びしていた幼児一人が水死している。
 この事故をきっかけに、同団地自治会を中心に危険防止の機運が高まり、同組合は市に池の周囲に金網をはりめぐらすよう依頼したが、予算の関係で西側の岸だけバラ線を張った。ところが、雪の重みなどで切れ、この日、犠牲になった子供たちが近づいたとみられる付近は、昨年夏から修理されていなかった。
 同組合は団地自治会や付近住民に、子供たちを近づかせないよう申し入れていたが、防止策としては立て札を置く程度で、管理が安易すぎる―と付近の人たちは話している。
 郊外の水田地帯の団地造成は、特にこうした貯水池や用水路が多いだけに、団地の安全環境づくりの点で、こんどの事故は問題点を投げかけたといえる。


 ちょうど50年前の出来事だったのですね。記事により、その3年前にも団地内の別の池で事故があったことも、知りました。50年前というと、私自身も子どもの時分です。愛知県尾張地方の田舎に育った私には、田圃や用水路は見慣れた風景でした。人工的水路のみならず、中小自然河川も網流する木曽川の堆積平野です(2015.6.7ブログ参照)。私の記憶では、川や水路に落下防止用の手だてはほとんどなかったと回想します。ひばりが丘団地での水の事故に私が感慨したのは、かような自分の原体験に由るのでしょう。昨年12月5日ブログには、「池に子どもがはまったことの歴史的な意味を牽強付会するならば、札幌の近郊農村が都市化・市街化する過程の象徴的事件といえるかもしれません」と添えました。記事を読んで、事故に遭ったのが団地に住む会社員の子どもだったことをあらためて深読みしてしまいます。

 「あらためて」の感慨をもう一ついえば、同日ブログで結んだ「地域局所的な史実は、口承伝説、しかも子どもという非正史的な世界に遺る」ことです。学校の怪談、あだやおろそかにできません。これを採集することで札幌の近代史が読み解けるやもしれない。
 さらに三たび「あらためて」を加えます。O先生への御礼です。先生は札幌の小学校の校歌、校章を調べ上げてまとめておられます。まだ電網社会が進展する前のことです。私が昨年、「校歌に歌われ、校章に描かれた北海道百年記念塔」(2018.11.30ブログほか参照)を調べたきっかけも、O先生のご教示によります。「今はインターネットで校歌も校章も簡単にわかりますが、前は大変だったでしょうね」と申し上げたら、「ほんとに大変でした」としみじみおっしゃってました。先生は昨年、「札幌の幼稚園、小・中学校の名称に見る特徴と地域性」「神社と公園の名称に見る地域の歴史と地名のかかわり」も執筆されました(末注)。伝え聞くところ、学校での事故についてもお調べになっているそうです。いただいた新聞記事のコピーはその渉猟の一つかもしれません。砂浜でダイヤモンドを探すような作業に想えます。先生のおかげで、“雲をつかむ”に近かった伝聞情報の裏付けを私は苦労せず得られました。

 注:『札幌の地名がわかる本』2018年、pp.322-346
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Comment

質問です。

>先生は昨年、「札幌の幼稚園、小・中学校の名称に見る特徴と地域性」「神社と公園の名称に見る地域の歴史と地名のかかわり」も執筆されました(末注)。

上記のお話は『札幌の地名がわかる本』2018年、pp.322-346 に掲載されているのでしょうか?
掲載されているのなら是非購入したいなと思うのですが。

Re: タイトルなし

ぶらじょに様
コメントありがとうございます。
 > 上記のお話は『札幌の地名がわかる本』2018年、pp.322-346 に掲載されているのでしょうか?
 > 掲載されているのなら是非購入したいなと思うのですが。

そうです。舐めるように読んでいます。亜璃西社刊、1800円・税です。
keystonesapporo

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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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