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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2019/07/07

江別川沿いの軟石倉庫 ②

 昨日ブログで、江別川(千歳川)沿いの札幌軟石の倉庫を取り上げました。
江別 旧岡田倉庫 軟石のサイズの違い 拡大
 上部の軟石は5寸×1尺厚で木骨石造、下部は1尺×1尺厚で純石造です(赤い)。真ん中(下から8段目、黄色のの段)だけ、5寸×1.5尺の軟石が積まれています。

 内部で構造がよくわかります。
江別 旧岡田倉庫 内部
 赤と黄色の矢印の先です。

 拡大すると…
江別 旧岡田倉庫 内部 構造 拡大
 上部の赤い矢印の先に見えるのは木の柱です。梁も通っています。5寸厚の軟石のところはやはり木骨石造です。下部にはこの軸組は見られません。ちなみに、上部のX状、下部の格子状の木材は、新たに補強のために組まれたものでしょう。

 黄色の矢印の先は、5寸×1.5尺の軟石が積まれている段(下から8段目)です。ここにも梁が通っているのですが、その上部すなわち5寸×1尺の軟石の段に通る梁に比べると、少し幅が大きい。構造の“継ぎ目”なので、幅広の軟石を積んで幅広の梁を通したということでしょうか。

 この画像は、6月27日に開催された江別市郷土資料館主催「再発見・江別探訪」で訪ねたときに撮りました。なぜ、上部と下部で構造を変えたのか。同行されていた資料館の方にお尋ねしました。この倉庫は穀物を収蔵していたので、その荷重に耐えるためではないか、とのことです。上までどんどん、しかもぎっしり積み上げていったとき、それが外壁に掛かる力を受け止めるため、らしい。

 昨日(7月6日)、北海道建築士会札幌支部主催の「江別の景観バスツアー」に参加して再びここを訪ねたところ、講師のK先生から同じ説明をお聴きしました。K先生は江別市の文化財保護委員を務めておられます。この建物の文化財指定に尽力されました。私が6月27日に聞いた前述の話は、K先生の考察に基づくようです。
 K先生は「前に富良野で同じ構造の建物を見た」と言われました。富良野の倉庫は澱粉の貯蔵で、前述の理由だったと伝わっていることから、先生曰く「この(=江別の)倉庫もそうだと断定はできないが、(富良野と)同じ理由かもしれない」とのことです。

 私は、富良野の建物のことは“ものの本”でしか知りません。富良野市教育委員会『ふらの歴史的建造物 ハンディガイドブック』2014年には、全部で57件、紹介されています。全22ページの小冊子ですが、富良野の歴史的建物を扱った文献としてはたぶん最新かつもっとも詳細ではないでしょうか。軟石や煉瓦の倉庫が数多く残っていることを知りました。
 同書の「㈱北印の農産物倉庫群」というコラムで、次の記述があります(引用太字、p.6)。
 (前略)かつては馬鈴薯をバラ貯蔵したため、内圧による壁面の歪み防止を目的に、腰回りを厚手の軟石積み、床と内壁を金輪とワイヤーで結束、控え壁を設置するなどの工夫が見られる。現在は玉葱の保管が主体である。

 K先生がおっしゃった倉庫がこの中に含まれているかどうかはわかりません。ただ、「(貯蔵物の)内圧による壁面の歪み防止」というところに、前述の荷重への補強と相通じる理由が感じられます。しかし。
 同書で説明されている倉庫の多くは木造(モルタル仕上げ)で、下層部に軟石を積んでいます。下層の軟石がいわば補強材と読み取れます。木造モルタルだけでは心もとないので、下部は軟石を積んで補強した、と。
 私は江別の物件の構造について、上部の木骨石造が補強的役割と理解していました。純石造だけで積み上げるのは心もとないので、上部は木骨を組んで補強した。
 下部を補強したのか、上部を補強したのか。
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≪ 7月2日「軟石建物クイズ」の答えホーム江別川沿いの軟石倉庫 ≫

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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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