札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2015/01/24

藻岩山麓の池

 札幌の街中の池といえば、思い浮かぶのは中島公園の菖蒲池、道庁の池、植物園の池、知事公館の池…といったところでしょうか。山田秀三先生解によれば、植物園の池は「ピシクシメム」、知事公館の池は「キムクシメム」で、前者は「浜のほうを通る池泉」、後者は「山のほうを通る池泉」です(『札幌のアイヌ地名を尋ねて』1965年、p.39~42)。
 という札幌の郷土史の教科書的な話からは外れて、もう少しマイナーな池泉の世界に遊びたいと思います。昨年12月23日ブログで紹介したナエボの「静心園」の池も、その一つです。あのように水を湛えている有姿の池は稀です。池は、都市化が進むにつれて、公共的な敷地の庭園を別とすれば埋め立てられる宿命にあるようです。それゆえに痕跡ハンターとしては妙味があります。

 前置きはこれくらいにして…。
伏見 地図
 この地図の、赤矢印を付けた先のところです。

拡大すると…。
伏見 地図 拡大
 明らかに、池と思われます。場所は中央区南15条西19丁目、伏見稲荷の麓です。
 この地図は、2013(平成25)年に札幌市中央区役所が発行した「中央区ガイド」からの抜粋です。前述の教科書クラスの池以外で(及び人工的に造られたもの以外で)、最近の地図に載っているのは珍しいと思います。

 この場所が、現状はどうかというと…。
峰吉の池跡
 伏見稲荷の参道の階段から、地図に示した矢印とほぼ同じ向きで撮りました(2014年10月撮影)。
 白っぽい乗用車とワゴンの右のほうにあたります。手前の木が邪魔をして見づらいのですが、水面らしきものはすでにありません。
 札幌建築鑑賞会会員でこの地域に生まれ育ったMさん(2014年10月27日ブログ参照)にお聞きしたら、ここには確かに池があったそうです。峰吉さんという方が元々お住まいで、「ミネヨシの池」と呼ばれていたとのこと。そのお宅も近年なくなって、更地になりました(乗用車が置かれているあたりが住宅だった)。
 
 Mさんによると、このあたりにはもう二つ、池があったそうです。
 それぞれ「マツウラの池」と「オオタケの池」と、やはり持ち主の名前が付けられていました。Mさんは子どものとき、これらの池を遊び場にして、魚取りをしたりスケートをしたりしていたと懐かしがっておられました。

 こちらが「マツウラの池」の跡です。
松浦の池
 場所は南13条西23丁目、中国総領事館やエルム山荘の南側になります。

 Mさんからお聞きした三つの池の位置を古地図に当てはめてみました。
 札幌市地図 1936年
 1936(昭和11)年発行の「札幌市地図」からの抜粋です。
 赤いを付けたところが「ミネヨシの池」、橙色のが「マツウラの池」、黄色のが「オオタケの池」です。
 これは藻岩山の崖線からの湧水だったのではないでしょうか。池に添うように、川が流れています。今は暗渠になっていますが、これは伏見川の分流でしょう(前掲「中央区ガイド」抜粋の地図でいうと、上流は藻岩川とか山元川か)。下流では界川(これも暗渠)と合流します。藻岩山からの流れのところどころに湧水があったように想像します。

 Mさんによると、「マツウラの池」の松浦さんというのは、戦前この地で温泉を営んでいた方です。昨日も引用した山長先生の『さっぽろ歴史散歩 山の辺の道―定山渓紀行』では、その跡地にエルム山荘と中国領事館ができたと記されています(p.40-41)。藻岩温(鉱)泉とか松浦温泉と呼ばれていたようですが、前掲1936年地図ではもう少し山側(西側)に温泉記号♨が付いて「藻岩温泉」とあります。

 なお、伏見川は、藻岩山麓通りの山側で地形を見ることができます。
伏見川
 伏見稲荷と慈啓会病院の境目の谷間です。錆びた看板が木に打ち付けられています。
伏見川の看板
 この看板、かなり古そうです。「札幌市役所 札幌警察署」とあるので、40年以上前のモノでしょう。

 
スポンサーサイト

≪ センター試験考ホームマリヤ手芸店、北海石版、女夫龍神、馬車道 ≫

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

管理人にのみ表示する

Track Back

TB URL

Home

 

プロフィール

keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

最新トラックバック

閲覧者数(2015.9.4からカウント)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR