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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2019/01/07

uhb収録余話 円山Sさん宅

 uhb「みんなのテレビ」で昨年11月と12月に出演した歴史散歩コーナーがシリーズ化されることになりました。題して「となりのレトロ」。スタッフが案を30くらい出した中から決めたそうです(私は関与してません)。御贔屓のほどをよろしくお願い申し上げます。
 拙ブログではこれまで同様、収録されたけれどもオンエアされなかったエピソードを伝えます。

 円山・裏参道のほど近く、旧界川河道跡に面するSさん宅です。
円山 Sさん宅 蔵 札幌軟石
 札幌軟石の蔵が遺っています。持ち主の方にお目にかかって、来歴を伺うことができました。
 建てられたのは昭和初期で、米蔵だったそうです。といっても、Sさん宅はこのあたりで稲作をしていたのではありません。水田は現在の米里のほうに持っていました。小作から上がってきた年貢米を納めていたのです。

 なるほどと、私は一人合点しました。かねて、この石蔵の由来は私たち軟石フェティストの間で謎だったのですが、謎の霧が晴れた思いです。本件の外観からして、また他の石蔵の例からして、「昭和戦前期の築かなあ」と想像はしていました。文庫蔵とか衣装蔵という雰囲気も醸しています。一方、Sさん宅は番組でも紹介されたように、旧円山村の旧家で、この界隈では畑作をしていました。農業用の倉庫という可能性もあります。しかし、もしそうだとしたら、いささか解せません。円山村は大正末から昭和初期、札幌の郊外住宅地として開発されたからです。これから市街化されていくという時期に、あえて農業用の倉庫を建てるというのは考えづらい。遠隔地に土地を持っていて稲作経営をしていたこと、その年貢米の収蔵用だったことを聞いて納得できました。 

 軟石建物の築年別内訳を、昨年4月来(2018.4.12ブログ参照)しばらくぶりに更新できました。「昭和戦前期」が一棟増えて「不詳」が一棟減り、下記のとおりとなります(カッコ内は母数413棟に対する百分比)。
  明治期:17棟(4.1%) 
  大正期:29棟(7.0%)
  昭和戦前期:52棟(12.6%)
  昭和戦後期:101棟(24.5%)
  昭和後期-平成期:49棟(11.9%)
  不詳:165棟(40.0%)

 番組のリポーターEさんが、Sさんに「円山地区は高層マンションが多く建ってきていますが、街の移り変わりをどうみておられますか?」と尋ねました。地元町内会の会長でもあるSさんは答えて曰く「(高層マンションの)新しい住民も町内会活動に協力的で、悪くないと思う」と。
 前述したように、今から90年ほど前、円山村は札幌の衛星農村から郊外住宅地に変貌しました。当時の村民が先を見通してのことです。そして、“郊外”ではなくなりました。その頃建てられた和洋折衷の住宅の多くは姿を消しています。1990年代から2000年代にかけてのことです。高層化が進んできました。番組でちらりとお見せした在りし日のモダン住宅の写真は、私が撮ったものです。貴重な史料になりつつあるのかもしれません。
 円山という風致性を鑑みたとき、街並みが高層化されることに議論の余地はありましょう。ただ、90年前がそうであったように、この地域はかように“脱皮”を重ねていく街なのかなとも思います。
 収録の帰りがけ、Sさんにお礼を述べつつ、私は石蔵の今後のことをお訊きしました。Sさんは「自分の代では壊せないね。思い出があるもの。小さいとき、悪戯をして親に怒られ、お仕置きで蔵に入れられたこともあるからねえ」と。
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≪ HBC収録余話 ぽすとかんホーム空知太神社 ③ ≫

Comment

番組を拝見して「シリーズ化」とテロップが出ていたので嬉しいと同時に驚きでした。

旧河道と斜道をぶっ込んできたあたりシリーズ化の挨拶代わりや意気込みと言ったとこでしょうか。と勝手に想像して見ていましたが、よく見てみると「古地図」がサブタイトルで本筋なんですね。
番組のえらい人もこちら側の人なんだろうなと勝手に思い込んでいます。

前回もそうでしたが、昔を知る人のお宅に伺って話を聞くというのがとても気に入ってます。
早くも次回が楽しみでなりません。

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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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