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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2018/08/29

もう一つの「望月橋」

 昨日ブログで、国道36号における月寒川の望月橋望月寒川の月寒橋という‘あっぺ’現象について記しました。

 ‘あっぺ’現象そのものはかねて指摘されているようなので、私の考察は望月橋の読み方を主眼とします。「もつきばし」ではなく「もつきばし」と読ませたところに、私は道路管理者たる開発局の意図を感じたのです。「望月寒(もつきさむ)川」とは関係ないぞという言い訳を読み取りました。いや、言い訳と言ったら開発局に悪いですね。

 昨日ブログに寄せられたコメントの一節を以下、引用します。
 月寒川の「望月橋」は月寒川を望むからなんだなぁ。望月寒川の「月寒橋」はまさにここから月寒というところであり36号線に架かる橋としてはそうなるよなぁ……
 
 実は私も、ほぼ同じ解釈をしていました。細かく言うと、月寒川上の「望月橋」を地図で見たとき、私は「月寒を望む橋」かなと思ったのです。そして現地で「もうつき」の読みを確認して、その思いを深めました。「もしかしたら『ぼうげつ』かな」とも予想したのですが、それだと「もちづき」、‘full moon’に解される恐れがあります。
 ひょっとしたら「もうつき」の読みは、開発局の後付けかもしれません。しかし、「橋の名の‘あっぺ’なんてありえない」。これも、正常化バイアス(8月25日ブログ参照)でしょうか。

 アイヌ語地名に精通していない内地人のために(といって私が熟知しているわけではないが)、望月寒川の読みが「・つきさむ」川である意味を念のため確認しておきます。
 望月寒=モ・チキサ=小さい・月寒川
 月寒=チキサまたは シ・チキサ=本流の月寒川

(山田秀三『札幌のアイヌ地名を尋ねて』1965年、pp.135-141、末注)
 
 「望」=「モ」=「小さい」です。札幌では知られるとおり、札幌の「円山」はもともと「モイワ」=「小さい山」でした(現在の「藻岩山」はもとともとは「インカルシペ」。堀淳一先生いうところの「地名の引越し」)。

 閑話休題。
 昨日ブログの末尾で、望月寒川にも「望月橋」があること、さらに下流には「望月寒橋」があることを記しました。これらは川の名に由来する「望月」「望月寒」でしょう。ならば読みは「もつき」「もつきさむ」に違いあるまい。
 念のため現地へ行ってみることにしました。

 その前に、橋の位置を地図で確認しておきます。
地図 月寒川 望月寒川 望月寒橋 月寒橋 
 着色凡例は以下のとおりです。
 濃い青:月寒川
 水色:望月寒川
 赤い:望月橋(国道36号)
 橙色の:月寒橋(国道36号)
 黄色の:もう一つの望月橋
 桃色の:望月寒橋(国道12号) 

 もう一つの「望月橋」は望月寒川の上流にあります。
望月寒川 望月橋
 豊平区西岡1条8丁目と南区澄川6条4丁目を分かつ境界上です。「西岡87号線」という市道なので、管理者は札幌市になります。

 さて、どう読むか。
望月寒川 望月橋 親柱①
望月寒川 望月橋 親柱②
 私の予想に反して、こちらも「もつきばし」と刻まれていました。

 同じ字「望月」で同じ読み「もうつき」という橋が二つ、あるのです。管理者が国と札幌市で異なるから、という表面的な理解は避けましょう。前述の「もうつき」=「月寒を望む」という語釈がぐらついてきました。あるいは、こちらの望月橋は「望月寒川の橋」に由来しないのか。予想どおりにならない時空に快感を覚えます。

 注:「チキサ」の語意は主題ではないので、割愛する。
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≪ 札沼線 謎かけ五題ホーム月寒橋、望月橋 ≫

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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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