FC2ブログ

札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2018/06/05

北1西1の記憶

 「さっぽろ創世スクエア」です。
さっぽろ創世スクエア 北側(上)
さっぽろ創世スクエア 北側(下)
 5月31日に竣工したそうなので、見てきました。
 超高層なので、カメラのレンズを横長にしたら建物が収まりきれません。

 同じ場所の2003年の風景です。
旧北海道ホルスタイン会館 王子サーモン 2003年
 私の目当ては、かつてあったこの建物の痕跡をたどることでした。
 2015年2月13日ブログで記したとおり、新しくできる建物の片隅に‘土地と建物の記憶’を遺してもらうことをお願いしてあったからです。このたび、その物件を拝見してきました。

 物件は、北側の入口を入ったところにあります。
さっぽろ創世スクエア 北側の入口
 北側にはオフィス棟があり、すでに一部開業していますので、入ることができます。

 あらかじめ再開発事業JVの担当者の方に確認の上、伺いました。
旧北海道ホルスタイン会館 土地と建物の記憶
 物件はすでにできあがっていました。

 かつてこの地にあった建物に用いられた煉瓦が壁に貼られ、由来について説明されています。
さっぽろ創世スクエア 「旧王子サーモン館」のレンガ
 説明は以下のとおりです。

この場所には「旧王子サーモン館」と呼ばれる建築物が立地していました。
「旧王子サーモン館」は、終戦から4年後の昭和24年、「北海道ホルスタイン会館」として建てられました。
札幌における戦後初の耐火構造による2階建の事務所建築で、外観は全面レンガ積(アメリカ積)と切妻屋根が特徴的でした。
窓台や玄関ポーチには札幌軟石が用いられ、外壁のレンガは通常の赤レンガではなく、窯変色のものが使用されていました。
上のレリーフは、「旧王子サーモン館」の面影をいまに伝えるため、建築物に使われていたレンガを用いて制作しました。


 建物の意義や特徴についてはもっともっと書いてほしいことがありましたが、たくさん書けばいいというものでもありません。また、本件「レリーフ」では、煉瓦が実際に積まれ方(説明文でいうところのアメリカ積ではなく、小端空間積み(2017.5.30ブログ参照)のように表現されています。これだけ一見するとこのように積まれていたかに受け取られる可能性もありますので、はばかりながら拙ブログでは補足しておきましょう。

 実際の積まれ方は、こうでした(2012年建物解体時に撮影)。
王子サーモン館 外壁煉瓦 2012年
 ほとんど長手面(煉瓦の細長い面)ばかりオモテに出して積まれていました。一般に「アメリカ積み」というのは、「れんがの長手面を5~7段続けて、小口面の列を混ぜ」る(末注)積み方ですが。本件を見ると5~7段どころかほとんど長手面ばかりのようでもあります。

 しかるに、「レリーフ」ではなぜ違う積み方をしたかを察するならば、煉瓦の平(ひら)面(=直方体でもっとも面積の大きい面)を見せたかったのでしょう。
さっぽろ創世スクエア 「旧王子サーモン館」の煉瓦 刻印
 平面には「2」という刻印が確認できます(2016年2月8日ブログ参照)。

 本件は、2012年に建物が解体された際、文字どおり瓦礫となった煉瓦を札幌建築鑑賞会が貰い受け、再開発の事業者にお願いして実現したものです。それがなければ、煉瓦はすべて産業廃棄物となっていました。厳寒の2月、解体工事現場で手がかじかみながら煉瓦を選り分けたことを懐かしく思い出します。
 
 この経緯は前掲の説明文には記されていませんし、喧伝することでもないのですが、せめて鑑賞会の通信では記録に留めておきたいと思います。先だって拙ブログで触れさせていただいたしだいです。前述のこぼれ話も、おそらく「さっぽろ創世スクエア」の公式媒体等で大々的に取り上げられることはないでしょうから、拙ブログ読者のお楽しみとして味わってください。記憶に薄れゆく風景をとどめるのも、あえていえば拙ブログの存在価値だと思っています。

 とまれ、再開発事業JVの担当者の方には、6年ぶりに記憶を蘇らせていただき感謝いたします。煉瓦の引き取り作業に従事してくださったNyさん、Tさん、Shさん、及び長い間保管してくださったⅠさん、Sjさん、Naさん、どうもありがとうございました。

 本件の位置は下図をご参照ください。
さっぽろ創世スクエア 1階平面図 レリーフ位置
 北2条通り側の入口のエレベーターの前です(赤い印を付けたところ)。

注:江別市教育委員会『江別のれんがを歩く』2008年、p.152による。
スポンサーサイト

≪ ひばりが丘小学校の校章に描かれた百年記念塔を考証するホーム鹿児島中央駅前で、サッポロビールの祖を拝む ≫

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

悲しい出来事

札幌の中心部に新しいビルが完成したとテレビでは伝えています。
ビルは、何の変哲も無いガラス面と鉄骨の寄せ集めで、世界中どこの街にあっても違和感なく馴染んでしまいそうな無個性で冷たいビルとなっています。
また、そのネーミングセンスが笑える!責任逃れの為に公募したとの事ですが「創世」とは酷い。近くを流れている創成川に対する侮辱とも思えるネーミングとなってしまっている。情けない。

コメントの投稿

管理人にのみ表示する

Track Back

TB URL

Home

 

プロフィール

keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

カレンダー

08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

最新記事

最新コメント

カテゴリ

閲覧者数(2015.9.4からカウント)

検索フォーム

ランキング

↑ クリックすると、ランキングが見れます。

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

最新トラックバック