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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2017/10/26

南8条 Mビル 札幌軟石

 本年8月下旬、札幌建築鑑賞会スタッフNjさんから、札幌軟石の建物が新たに建っているというお知らせをいただいていました。
南8条 Sさん宅 事務所
 中央区南8条、鴨々川の近くです。先月中ごろ、現地に行って外観を眺めてきました。ほぼ完成して、内装の工事をしている様子でした。

 札幌軟石をまるごと外壁に用いた、しかもかなり大きな新しい建物です。びっくりしました。のみならず驚いたのは、使われている軟石が古そうなのです。表面がいわゆるツルメ、つまり手彫りの仕上げです。新しく切り出した軟石を手彫りで仕上げるということもなくはないでしょうが、もし新しい石材ならば色合いが全体に一様になってもいいと思います。しかるに本件は、なんとなくバラツキがあります。そこがまた味わい深いところでもあります。これはただならぬ気配を感じました。

 今月に入り工事も終わった様子でしたので、思い切ってお訪ねしました。社長さんはご不在でしたが、後日お話をお聴きすることができました。
 持ち主のSさんによると、この軟石は大正14年に建てられた味噌醤油の蔵に使われていたものだそうです。その蔵は本件建物の後ろ、現在ホテルが建っているところにありました(前掲画像、左方の高層ホテル)。21年前、ということは1996(平成8)年にその蔵は解体され、跡地にホテルが建ちました。Sさんがおっしゃるには、「解体した軟石をどこかで活かしたい、利用したい」と考え、南区石山で保管してきました。そしてこのたび、21年の星霜を経てよみがえったというわけです。

 文章にすると数行ですが、私には驚きの連続です。北11条のNさん宅元味噌醤油蔵の「離島キッチン」への再生(10月19日ブログ参照)に続き、天晴れと申し上げたい。
 
 本件建物は不動産賃貸業を営むSさんの会社の事務所として使われています。本日のブログのタイトルを「Mビル」としたのは、会社の屋号(印)である「○(マル)源」の頭文字を取りました。このあたりを歩いたことのある方はお気づきだと思いますが、実は近くに同じ印を妻壁に刻んだ石蔵が遺っています。明治期にこの地で果樹園を営んでいたS家の石蔵です。古い石蔵のほうはあらためてお伝えします。
 
 これにて、札幌市内の軟石建物は本件を「再生新築」として1棟を加え、総数は413棟となりました。築年別内訳は10月12日ブログから更新して、以下のとおりです(末注)。
  明治期:16棟(3.9%) 
  大正期:30棟(7.3%)
  昭和戦前期:51棟(12.3%)
  昭和戦後期:99棟(24.0%)
  昭和後期-平成期:48棟(11.6%)
  不詳:169棟(40.9%)
  
 注:本件の築年を「大正期」に含めたが、「再生新築」の場合は悩ましいところである。
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≪ 南8条・○(マル)源Sさん宅の石蔵ホーム桑園博士町 ふきのとう文庫 ≫

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これは、理想的と言うかデザインも良いし、新しいので安全性及び防災性も確保されている。

このような建物が増えれば軟石自体の価値も上がる。
また、新たなデザインとしてブームになる可能性も十分にあり得る。
街の景色にも美しく溶け込み、札幌の魅力がアップするだろうと思う。

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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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