札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2017/10/18

札幌扇状地平岸面 洪水の記憶 補遺

 今回も、前に書いたブログの補正です。
 10月11日ブログで札幌扇状地「平岸面」のことを記し、1950(昭和25)年に起きた連合用水第三号用水路の洪水氾濫を、私は扇状地の記憶ではないかと述べました。妄想を膨らませたものですが、真に受けられかねない表現がありましたので、補っておきます。

 「ぼうず山麓の水田地帯の伏流水が増量」という私の記述について、知人の造園家Sさんから「水害につながるほど短期的に伏流水が増加することは考えにくい」というご指摘をいただきました。これは、もし昨日今日の大雨がもたらしたものという前提ならば、まったくそのとおりだと思います。
 伏流水はかなり長い年月を経て地表に湧き出ると聞きます。「かなり長い」というのは、ン十年というスパンです。白旗山水源の水を使っている清田区の飲料工場では、40年前の水が中腹で湧き出ているとのことです(https://factory.hokkaido.ccbc.co.jp/eco/参照)。京極のふきだし公園の水も羊蹄山に浸みた水が「数十年」かかって湧き出ているそうです(http://www.hokkaidoisan.org/heritage/019.html参照)。
 しかるに、本件豊平の洪水の場合、「ぼうず山」を水源と仮定して国道36号の浸水地帯まで、直線距離にして2.5㎞余りあります。一日二日前に降った大雨が2.5㎞先で洪水となるほど湧き出るとは、考えられません。

 Sさんは洪水の原因を、「戦後の都市化」によるのではないかとみています。雨が降ったとき、舗装されていない地面や畑などであれば地中に浸透しやすいのですが、道路が舗装されたり宅地化が進むと浸透しにくくなります。地中に浸透しない分、大雨が降ると許容量を超えて流れ込み、洪水を起してしまう。‘都市型’水害というところでしょうか。下水道を整備してこれを防ぐのですが、用水路(排水路)の規模が昔のままだと、対処しきれない。

 これはごもっともなのですが、必ずしも「戦後の都市化が原因」とまではいいきれないのではないかと私は思います。
 豊平の浸水地帯の空中写真(1948年米軍撮影、10月11日ブログに掲載)を見ると、たしかに市街化されています。ただし、浸水が起きた1950年当時、戦前と比べて市街地が大きく増えていたかというと、地形図(大正5年、昭和10年)と照らしたとき、それほどではありません。言い換えれば1950年夏の大雨が、それだけ甚大だったのかもしれません。

 Sさんによると、雨水の流出係数(まったく浸透しない地面を1とし、0に近いほど浸透しやすくなる)は以下のとおりです(日本道路協会「道路土工要領」2009年)。
 舗装路面:0.7-0.95 水田(湛水時):0.7-0.8 市街:0.6-0.9 平坦な耕地:0.45-0.6 砂利道:0.3-0.7

 豊平の1950年浸水域は、前述1948年空中写真から推測するに市街地ですが、道路はまだ砂利道でしょう。 一方、ぼうず山から「小泉川」の流域は北へ水田が広がっています。夏場だと流出係数は高い。この一帯が私には伏流水、というかその表出に見えてしまうんですね。‘古々’豊平川(10月10日ブログ参照)の洪水を彷彿させる。伏流水というコトバを安易に使ってすみません。
 
 第三号用水路が流れていたとおぼしき現在の風景です。
定鉄旧豊平駅舎 鉄路跡
 南から北を眺めました。左方の細長く建物が建つ敷地が旧定山渓鉄道豊平駅があったところです(2016年2月撮影、同年2月5日ブログ参照)。1950年洪水を証言したⅠさん(ご主人)によると、駅舎の月寒寄りを用水路が流れていたといいますから、ちょうど歩道のあたりがその跡になりましょう。

 実は、Ⅰさんは「(洪水が起きたのは)戦後、用水路が十分に管理されていなかったからではないか」とおっしゃっていました。本来農業用水路だったところへ大雨が流入して、処理しきれない排水も負わされ、文字どおりオーバーフローしてしまった、というのが実情でしょうか。Sさん、ご指摘ありがとうございます。
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

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