札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2017/10/16

時計台のナナメ向かいのビル

 中央区北1条西3丁目、時計台のナナメ向かいにあるビルです。
アコム時計台前ビル 2016年
 一見、何の変哲もないビルです。一見でなく、ずっと見ていても変哲ありません。
 この「変哲もない」という風景が、逆説的にいうと実は変哲ある、ということが本日のテーマです。

 二十数年前、その場所を向かいの時計台越しに眺めて、写真に撮っていました。
アコム時計台前ビル 1993年
 1993(平成5)年の冬に撮ったものです。

 冒頭の写真は2016年10月に撮っています。最大の違いは、かつてガソリンスタンドだったところにビルが建っていることです。が、私がこのアングルで写真を撮った意図が別にあることは、だいたいお察しいただけると思います。ガソリンスタンドの隣のビルです。消費者金融の自社ビルで、屋上に塔型と壁に突出しの広告の工作物があります。

 冒頭の現在の風景と比べると、それらの広告は姿を消しています。低層階の壁面公告のみです。二十年余に時空が変化しました。ここには一定のベクトル(方向性を持った力)がはたらいたと、私は見ています。
 念のため、札幌市の屋外広告物条例等をおさらいしてみましたが、前掲画像の広告を排除するような規制は見つけられませんでした。つまり法令・例規的な規制にもとづくのではなく、いわば自主的に撤去された可能性が高いと思われます。カタチとしては消費者金融会社の自主的作為でしょうが、何らかの外的な力がはたらいたのではないでしょうか。管見の限りでは、そのあたりの顛末が広く公表された形跡はありません(もしご存じの方がいらっしゃったらご教示ください)。

 こういう作為、つまり何かを付け足すのではなく、差し引くような作為、しかも建物本体とかではなく工作物ともなれば話題にはなりづらいと思います。なので、せめて拙ブログでは話題にして、記憶にとどめておきましょう。先日の札幌建築鑑賞会「大人の遠足」スピンオフ編でも、この話題には触れなかったので、ここで取り上げます(末注)。

 札幌のシンボル・時計台は、観光客から「ビルの谷間にあってがっかり」とか言われるようです。識者からは、周辺の建物などへ景観的な配慮を求める声もあります。ともすれば「行政は何をやっているのか」という矛先も向けられます。理想的には、たとえば時計台のような重要文化財の周辺、一定エリアの風致景観を誘導規制するガイドラインがあってよいと私は思います。ただし、そうなっていないのは、当然ですがそういう規制を好まずとするベクトルがはたらくからです。行政は、絶えずそのせめぎあいに置かれています。所詮、民度の平均値です。もし、前掲画像の広告物の撤去を前もって唱えた人がいたら、私は深く敬服します。そういう人こそ、口先だけの威勢のいい批判にとどまらない、ホンモノだと私は思います。

 …と記してきて、私があたかもこの広告物の出現にハナから気づいていたかというと、決してそうではありません。だから、私はホンモノにはほど遠い人間です。実は、この広告物を出現当時から憂慮した人は、確かにいました。1990年頃だったと思います。当時、札幌市役所にお勤めたっだOさんです。
 屋外広告物のありかたは、それこそいろいろなベクトルがはたらき、民意を集約するのが難しい分野だと思います。私は、前掲画像(広告物が背後に写る時計台)よりは冒頭画像の風景(広告物が撤去されたビル)のほうをよしとします。しかし、そうは思わない方も当然いるでしょう。どちらかが絶対的に正しいということはできません。ただ、広告物の出現を(たぶん)最初に認識したOさんは、繰り返しますが偉大だと思います。
 最後になりましたが、経緯はどうあれ広告物を撤去した消費者金融会社に敬意を表します。

 注:案内役のⅠ先生は、周辺の他の建物景観についてコメントされました。主催者としてたびたび自画自賛めいて恐縮ながら、札幌市民が時計台周辺でこういう見聞を体験するのは稀少だと思う。

2017.10.17ブログに補遺記述
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≪ 時計台ナナメ向かいのビル 補遺ホーム時計台に座るクラーク先生 ≫

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自主撤去ではないかと

札幌市の屋外広告物条例は平成10年、景観条例は平成19年に制定されております。つまり平成5年当時は北海道の屋外広告物条例の規制しかなかったことになります。

全国的に屋外広告物を含めた景観が行政として力を入れ始めたのは、景観緑三法が2004年(平成16年)に法的に制定された背景があります。

現在このビルはグーグルマップで調べると三京ビルとなっています。当該ビルの所有が当時も山京ビルと仮定するなら、消費者金融業者の自社ビルではない、つまり自家用広告物ではないということです。
恐らく広告物撤去はビル所有オーナーが決めたことで、消費者金融会社はビルの運用方針に従っただけと推測されます。
よって、恐らく消費者金融業者の自主撤去ではないと思います。
消費者金融企業が景観に配慮したというのも、先入観かもしれませんが無理があるような気がします。

参考に山京ビルのHPをのぞいてみると、トップがなんと時計台となっていました。もしかしたら偉大な企業は山京ビルなのやも知れません。

当該屋外広告物が撤去された年代は不明ですが、今も昔も景観が阻害するからという名目で屋上広告物を企業が自社広告物を自主撤去した事例はないと思われます。あくまでも想像ですが。

札幌市の新しい景観計画は景観条例は平成29年4月1日施行・運用開始となっています。まかりなりにも観光都市として一応全国上位にランクインする札幌市は、景観という概念においては全国の景観先進都市に比べ、非常に遅れているのです。
民度の平均値が向上するには札幌はまだまだ時間がかかるのではないでしょうか。

ちなみに昨今、札幌都心部のビルにある大型広告物の撤去が散見されますが、あれは2015年に起きた例の看板落下事件を受けて安全管理面の徹底が図られつつあるせいのようです。ご参考なまでに。

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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

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