札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2017/09/08

藻岩村道路元標が見当たらない! ③

 一昨日ブログの続きです。
 南2条西24丁目のナナメ通りにあった藻岩村道路元標の行方について、この場所でマンション建設を計画している不動産会社にお問合せしました。その結果は…。
 「私どもが土地を購入する前に、元の所有者の方が対応されたので、(行方は)判りません」。
 元の持ち主によって処分されたらしい。一つ予想された答えではあります。敢えて勘ぐる?ならば、不動産会社が「敷地を更地にすること」を購入の条件としたのではないかとも思いますが、そこまで糾すことはできませんでした。根拠のない勘ぐりです。

 一昨日ブログで私は「本件元標が大正期整備の新道を原点にしたものならば、古道に面している(いた)のは不自然ではあります。三関さんが元標を遺すために、位置をずらしたのだろうか」と記しました。古道というのはナナメ通りのことで、三関さんというのは大正時代に藻岩村円山の碁盤目状道路網整備を導いた役場吏員三関武治さんです。一昨日引用した『さっぽろ文庫45 札幌の碑』の記述から、そう思いました。道路網整備の「思い出をたどるよすがになっている」と書かれているので、碁盤目状に整備された新道を起点にしたのかと思ったのです。
 元標は1928(昭和3)年に設置されました。道路網整備事業が終了したのはその前年、1927(昭和2)年です。あたかも事業の竣功を記念したかにも見えます。この元標設置もまた、三関さんのあずかるところが大きかったに違いないでしょう。
 しかし私は想い直しました。三関さんはあえて、古道(ナナメ通り)側に元標を置きたかったのではないかと。

 「札幌郡藻岩村大字円山道路網図」1923(大正12)年です(札幌市公文書館蔵)。
藻岩村大字円山道路網図
 この図は、元々の旧円山村当時の地割(現況)と碁盤目状の新道路網(計画)が重ね合わせて描かれています。今風に言えば、レイヤー処理されているというところでしょうか。画像に赤い線で着色したのが旧道のナナメ通り、黄色の線でなぞったのも古道で、銭箱道(北1条以北はのちに国道5号、現道道宮の沢北1条線)です。この図が興味深いのは、地番図をベースにしているからなのか、河川(または旧河道)とおぼしき蛇行する線も描かれていることです。その線を水色でなぞりました。旧道と川の地理的(地形的)な関係が伝わってきます。道路元標が置かれていたのは、赤矢印の先です。 

 ここで注目したいのは、古い地割がおおむね古道に直交していることです。新道路網はいわばこれを度外視して、札幌市の碁盤目と連動するように線を引き直しています。歴史が上書きされる様子が、手に取るように判ります。
 『円山百年史』1977年によると、事業は1922(大正11)年に計画され、翌1923年から3年の予定で進められました。が、実際に終了したのは前述のとおり1927(昭和2)年です(pp72-75、末注)。大変なプロジェクトだったことが同書の行間から想像されます。中心となった三関さんはスゴイ人だなと想います。ちなみに、前掲の図面ほか貴重な史料を遺したのも三関さんですし、『円山百年史』を中心的に編んだのも三関さんです。都市近郊農村の近代化のあゆみを私たちが跡づけられるのも三関さんのおかげです。歴史を動かし、かつ遺した。

 あらためて、南2条西24丁目を眺めます。
南2条西24丁目 ナナメ通り
 北から南を望みました。画像の左方がナナメ通り、右方が碁盤目の新道(道道、西25丁目通)です。赤矢印の先が道路元標在りし位置です。
 近代(後者)と前近代(前者)がせめぎ合っています。近代が前近代を上書きした後も、古道のナナメ通りは遺りました。上書きの生き証人の三関さんだからこそ、道路元標はナナメ通りに置かねばならぬと思ったにちがいない。私の妄想です。

 くだんの三関武治翁です。
三関翁之像
 南2条西24丁目に三関さん宅があった2013年、玄関先にあった胸像を撮らせていただきました。道路元標は、もしかしたらこの胸像とともにご遺族の新天地に移ったのかもしれません。
 
 道路元標、復活しないかな。 [おわり]

 注:一昨日引用した『さっぽろ文庫45 札幌の碑』では、事業計画を1921(大正10)年としている。同書も『円山百年史』に依拠していると思われるので、『百年史』の記述を採りたい。
スポンサーサイト

≪ 厚別・旭町の阿部仁太郎屋敷について 補遺ホーム厚別歴史散歩ご案内 ≫

Comment

表題の件について

詳細なご説明で事情を知ることが出来ました。数次の現地調査を含めその来歴など貴重な資料なで興味深く拝見しました。敬意を表しお礼申し上げます。

コメントの投稿

管理人にのみ表示する

Track Back

TB URL

Home

 

プロフィール

keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

最新トラックバック

閲覧者数(2015.9.4からカウント)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR