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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2021/03/01

札幌市の西野幌

 昨日ブログからさらにまた、気になりついでで寄り道します。

 昨日ブログに記した下野幌排水のすぐ南、同じポンノッポロ川に注ぐ「西野幌川」という支流です。
河川網図 西野幌川
 上掲河川網図では赤い矢印を付けた先に当たります。「西野幌」が気になりました。
 
 現在図でこの川の周辺を俯瞰します。
現在図 野津幌川流域 上野幌、下野幌、小野幌
 赤い矢印を付けた先の水色でなぞったのが西野幌川です。

 札幌市の東縁のこのあたりは、もともと下野幌という地名の一帯です。西野幌川が流れる地帯は、現在の町名を「下野幌テクノパーク」といいます。ピンク色で塗った区域です。ほかの着色加筆の凡例を以下に示します。
 赤色:厚別町下野幌、黄色:厚別町小野幌、橙色(濃):厚別町上野幌、同(薄):上野幌(条丁目)
 濃い青(太線):野津幌川、同(中太線):小野津幌川、同(細線):ポンノッポロ川(小野津幌川の上流)

 上掲図でお示ししたかったのは野津幌川の流域と、札幌市内で「野幌」という地名にちなむ一帯です。現在の上野幌、下野幌、小野幌は、野津幌川と小野津幌川の両端に位置します。その中間すなわち野津幌川流域の中心部は、現在の地名は「青葉町」と「もみじ台」です。しかし、古くからお住まいの方にはいうまでもないことですが、元の字名は下野幌でした。さらには、JR函館本線の北側の厚別北と南側の厚別東も、かつては小野幌及び下野幌です。かつての下野幌や上野幌の一部は、現在の厚別中央や厚別南にも含まれています。

 古い地図などを参考にして、札幌市内でかつて「野幌」と付いていた一帯を現在図に示します(末注①)。
現在図 野津幌川流域 上野幌、下野幌、小野幌 (旧域)
 青く塗った区域です。結局、野津幌川の流域の多くが、(上・下・小)野幌でした。現在の区域を示した前掲図に照らすと、地名が本来の場所から辺縁部にあたかも遷移したかに見えます。地名の“上書き”のなせるわざです。文化は辺境に遺る。

 さて、上掲図で野幌と付いた一帯の中で、西野幌川はどこに位置しているでしょうか。東端です。野幌の東のはずれを流れているのに「西」野幌川。私がこの川名に惹かれたゆえんです。しかしこれも、このあたりに精通している方には不思議ではありません。市境を越えて江別市側の地名が「西野幌」だからです。西野幌川は、江別市西野幌から源を発しています。
 いうまでもなく、野幌は江別市にも分布する地名です。というよりも、ただ「野幌」だけだったら、江別市の地名としての認知度が高いでしょう。では、そもそも野幌はどのあたりを指していたのか。私は野津幌川の流域に由来すると思うのですが、ひとまず措きます。とまれ江別市の西野幌に発するならば、西野幌川は不思議でもなんでもありません。

 その西野幌川を私は2017年に撮ってました。 
西野幌川
 この画像を撮ったときはそこまで意識してなかったのですが、今になって稀少感が伝わってきます。 
 
 この場所が札幌市に位置するからです。これが江別市内だったら、気になりません。お隣の市の地名が越境しているところにありがたみを感じるのです。
 広域の市町村を流れる川はいくらでもありますし、自然の川が人為の行政区域にとらわれないのはむしろ自然ともいえます。上流の地名を冠した川の名前が下流で同じく称されているのも、ごく普通のことです(末注②)。にもかかわらず、「西野幌川」に一種の特異感を抱くのはなぜか。前述のとおり、野津幌の流域としては東端であるにもかかわらず、「西」野幌だからです。たぶん私には、野幌の文字どおり主流は札幌側にあるという観念が強いのでしょう。江別市の野幌は、“地名の引越し”の産物ではないか(末注③)。

 川に架かる橋の名前も、「西野幌橋」です。
西野幌橋
 川名(=線的な地名)だけならまだしも、橋名(=点としての地名)も越境しています。「西野幌川橋」なら、これまたまだしもです。まだるっこしいからか、「川」が端折られました。ますますもって興趣が湧きます。

 注①:以下の資料を参考にした。
 ・関秀志編『札幌の地名がわかる本』2018年pp.76-87
 ・札幌市サイト「廃止町名一覧」ページ↓
  http://www.city.sapporo.jp/shimin/koseki/jukyo-hyoji/haishi-chomei1.html
 ・昭文社『エアリアマップ 札幌市街図』1977年
 厳密には、たとえば現在の青葉町5丁目は厚別町旭町だった区域もあるので、上掲図の色塗りはかつて「野幌」と付いた地域のおおまかな範囲として理解されたい。
 注②:長野県内に発する千曲川は、下流の新潟県では「信濃川」と称される。「信濃から流れてくる川」だからか。隣国の地名を冠するほうがむしろ自然な例である。
 注③:この現象と用語は山田秀三先生による。2020.6.29ブログ参照。ただし、江別市の野幌を“地名の引越し”とみることができるか、もう少し検証を要する。ひとまずは保留する。
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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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