FC2ブログ

札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2020/03/05

オヤコわたの旧工場

 UHBみんテレ3月2日の「となリのレトロ」でお伝えした、白崎繊維工業さんの旧工場です。
白崎繊維工業 旧工場 2020年2月
 この建物のことは2017年9月1日ブログで綴りました。気になっていたことがあります。一つは建築年です。同日ブログでは1955(昭和30)年と引用したのですが、その後1940(昭和15年)に建てられたとも聞きました。気になっていたもう一つは「どこで焼かれた煉瓦か?」です。本件建物は、鈴木煉瓦の職人が積んだとも伝えられます(末注①)。鈴木煉瓦は明治から大正にかけて、このあたりで煉瓦を生産した業者です(末注②)。しかし、大正期末期あるいは昭和初期に操業を終えたといわれています(末注③)。建築年が1955年あるいは1940年だと、鈴木煉瓦の閉業後になります。それで、同煉瓦の職人が積んだとすると、どういうことか。
 
 次のようなことが推測されました。
 大正期あるいは昭和初期に生産は終えても、煉瓦は残っていたのではないか。残っていた煉瓦を、地元に残っていた職人が積んだ。
 一方、次のような記述も目にしました(引用太字、末注④)。
 (白崎繊維工業の)創業が昭和16年で、工場もその時に建てられたと伝わっていますが、戦時体制下に建てたとは考えづらく―とはいえ、北海道では物資統制を無視するかのごとく戦中戦後の統制期に建物を建てることが少なくないのですが―、おそらく戦後間もない持代のものと思っています。
 そうだとすると、煉瓦が残っていたというのも考えづらくなります。特に「戦後間もない時代」は、進駐軍が宿舎建設のために江別の煉瓦業者に大量生産を命じました(末注⑤)。物資が「進駐軍ファースト」で調達されたのです。 
  
 このたび白崎社長にお伺いして、以下聞き取りました。
 ・煉瓦の旧工場は、同社が創業した1941(昭和16)年の前年、1940年に建てられた。創業に当たり、工場を整えた。
 ・鈴木煉瓦に勤めていた職人を雇用して、工場を建てた。
 ・鈴木煉瓦は大正期に閉業したが、その後別の業者が煉瓦生産を引き継いだ。昭和30年代までこの地で続けられた。引継いだ業者の名前は記憶が定かでない。

 白崎さんの証言の裏付けになりそうな史料を挙げます。
 空中写真1947(昭和22)年です。
空中写真 1947年 白崎繊維工業付近
 赤い矢印を付けた先に白崎繊維工業が位置します。

 2008(平成20)年の空中写真です。
空中写真2008年 白崎繊維工業付近
 黄色の矢印を付けた先に本件煉瓦建物の屋根が写っています。
 前掲1947年写真と較べると、屋根伏の影が同じに見えてなりません。1947(昭和22)年に本件建物が写っているとなると、それこそ戦中戦後間もなくの物資逼迫期の建築は考えづらく、1940(昭和15)年ならば日米開戦前で、まだ可能だったのではないでしょうか。煉瓦工場と職人のことは別に述べることとします。

 本件建物は現在物置ですが、放送でも言われたとおり、白崎さんは近い将来、地域住民の交流の場として再生させたいとのことです。「最後のご奉公」として、と。応援したい。

 煉瓦とテレビつながりというわけでもないのですが、2018年に放送された「ふるカフェ系ハルさんの休日」江別編がまたまた再放送されます(道内のみ)。3月7日(土)午前10時55分~11時25分、EテレNHK総合(3ch)

https://www4.nhk.or.jp/furucafe/x/2020-03-07/21/38291/1973059/
 こんなに再放送されるとは思わなかった。

 注①:喜田信代「札幌市における昭和期の煉瓦造建築」『「新札幌市史」機関誌 札幌の歴史』第39号2000年、p.6
 注②:2015.1.182016.2.14各ブログ参照
 注③:松下亘「札幌地域のレンガ史」『「新札幌市史」機関誌 札幌の歴史』第15号1988年、p.9、札幌市白石区役所『白石歴しるべ』1999年、p.39
 注④:池上重康「北海道赤煉瓦行脚 その49 白崎繊維工業白石製綿工場」『赤煉瓦ネットワーク 輪環』第69号2009年2月
 注⑤:2016.2.8ブログ参照 
スポンサーサイト



ホーム

Home

 

プロフィール

keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

カレンダー

02 | 2020/03 | 04
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

最新記事

最新コメント

カテゴリ

閲覧者数(2015.9.4からカウント)

検索フォーム

ランキング

↑ クリックすると、ランキングが見れます。

月別アーカイブ

管理画面

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

最新トラックバック