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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2019/09/19

上野幌駅は、なぜ「上野幌」だったか?

「厚別区民歴史文化の会」主催の「厚別歴史散歩」上野幌編(本年7月15日ブログ参照)を9月20日に控えています。前日だというのに、配布資料がまだ完成していない。毎度毎度瀬戸際になってしまいます。自らの性分にほとほと嫌気がさします。札幌建築鑑賞会ではこんな私をタイムキープしてくれる奇特なスタッフに救われているのですが、これはきわめて稀有な善意です。せめてそのことだけは肝に銘じます。

 上野幌の歴史を例によって泥縄で調べて、この期に及んで謎にぶち当たってしまいました。旧千歳線の上野幌駅のことです。正確にいうと、旧駅の所在地名。現在「厚別南公園」になっているこの場所は「札幌市厚別区厚別南5丁目」です。

 その位置を現在図に示します。
現在図 旧千歳線上野幌駅跡
 サイクリングロードになっている旧千歳線を黒の実線でなぞりました。赤いを付けたところが旧上野幌駅の跡です。
 なぜ、この場所にできた駅に「上野幌」と付けられたのだろうか? 私のいう謎です。

 古地図に照らします。
大正5年地形図 下野津幌 下野幌 野津幌 野幌
 大正5年地形図です。千歳線の前身たる北海道鉄道が敷かれたのは1926(大正15)年なので、まだ鉄道は描かれていません。
 のちに上野幌駅ができる地点に赤いを付け、周辺に書かれている地名を赤いで囲みました。すぐそばに「安達」、その北、東に「下野津幌」「下野幌」とあります。「下野津幌」の「下」に「シタ」、「下野幌」には「シモノッポロ」とルビが振られています。広島街道(現国道274号の原形)の付近に「立花」「野津幌」、広島村側に「野幌」があります。「上野幌」という地名は見当たりません。

 昭和10年地形図です。
昭和10年地形図 上野幌駅周辺
 鉄路が描かれ、駅名も書かれています。周辺の地名は前掲大正5年図とほぼ同じです。
 この駅の場所からすると、前掲図の赤いで囲ったいずれかを駅名とするのが自然ではなかろうか。
 「野津幌」「野幌」にしなかった理由は容易に察せられます。国鉄の函館本線に「野幌」駅がすでにあったから。もっとも近くに記されている「安達」は正式な字名ではなく、居所的通称地名だった可能性があり、考慮の対象外だったかもしれません。いや、そもそも位置的には、この場所は「下野(津)幌」ではないか。

 白石村発行『白石村誌』1921(大正10)年折込みの「白石村全図」です。
白石村誌 大正10年 白石村全図
 朱記されているのは当時の字名と思われます。「下野津幌」に赤い傍線、「野津幌」に黄色の傍線を付しました。
 略図なので照合しづらいのですが、上野幌駅がのちにできる場所はどうも「下野津幌」の区域に見えます。

 『さっぽろ文庫11 札幌の駅』1979年の「上野幌駅」の項に、次のように記されています(p.154、太字)。
 開業のころの旧駅の所在地は白石村字野幌、後に下野幌と地名が改められたが、駅名はそのままで、新しい駅名にも引き継がれた。

 上掲『白石村誌」の「白石村全図」と字名の表記が異なりますが、この記述からすると、旧上野幌駅の所在地に「下野(津)幌」という字名が付いていた時期があったようです。
 念のため、札幌市役所の町名を管轄する係にも訊いてみました。当該地点の町名(字名)の変遷を時系列で遡ると、つぎのとおりです。
 札幌市厚別区厚別南5丁目 *1989(平成元)年分区により、厚別区となる
 ↑
 札幌市白石区厚別南5丁目  *1982(昭和57)年に町名変更
 ↑
 札幌市白石区厚別町下野幌  *1972(昭和47)年政令市移行により、白石区となる
 ↑
 札幌市厚別町下野幌  *1950(昭和25)年白石村の札幌市合併により、札幌市となる。下野津幌→下野幌
 ↑
 白石村大字白石村字下野津幌

 「上野幌」駅が「下野(津)幌」に長い期間在ったのは、どうやら間違いない。あらためて、なぜ「下」野幌駅ではなく、「上」野幌駅と命名したのか。

 上野幌駅を現在図で広域に俯瞰します。
現在図 野津幌川 JR野幌駅 上野幌駅
 野幌の由来となったであろう野津幌川(青い実線でなぞった川)を軸線としてみると、「上野幌駅」跡(赤い)は上流に位置します。現在のJR千歳線上野幌駅(地図上、川の最上流部の橙色ので囲ったところ)はさらに上流の、川沿いそのものです。しかるに、函館本線「野幌駅」(右上端の赤いで囲ったところ)は下流です。たぶんこの駅は野幌屯田、ひいては野幌官林に由来するのでしょう。こちらに先んじられて、川の上流域にできる駅名に「下」野(津)幌と付けるわけにはいかなくなった、というところでしょうか。

 嗚呼、こんな愚考に埋没しているから、本来やるべきことが終わらない。
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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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