札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2018/06/23

20年前の旧永山邸・旧三菱鉱業寮

 6月13日ブログで私は「旧永山邸及び旧三菱鉱業寮については、私は20年来の感慨があります」と記しました。
 その“わけ”を物語るのが、以下の写真です。

 1997(平成9)年3月、札幌の文化財をテーマにして、札幌建築鑑賞会で勉強会を催しました。
旧永山邸 1997329
 そのとき、会場に使わせてもらったのは旧永山邸です。拙ブログでたびたび引用させていただいている故武井時紀先生(2017.11.42018.6.16各ブログ参照)に講師を務めていただきました。

 旧三菱鉱業寮2階の和室でも、先生の講義を受けました。
旧三菱鉱業寮 1997329
 20年以上前の当時、この場所をこのように利用する例はありませんでした。正確にいうと、地元町内会の女性グループがお茶か生け花の会合に使ってはいたのですが、それはいわば例外だったのです。所管している札幌市の文化財課では、市民の会合等での供用をオオヤケに謳ってはいませんでした。

 1998(平成10)年5月、札幌建築鑑賞会のスタッフの会合を同じ部屋で開いたこともあります。
旧三菱鉱業寮 199805
 これも、文化財課にかけあって容認してもらったものです。

 市民が地元の文化財を訪れるというのは、あまりないのではないか。そう思ったのが、上記のことを試みたきっかけです。時計台や豊平館、清華亭などに足を運ぶことって、どれだけあったでしょう。最近の話ではありません。20年前です(末注)。観光名所になっている文化財は、逆に市民には疎遠かもしれません。
 旧永山邸は、文化財や観光地としての知名度は時計台や道庁赤れんがほど高くはありませんでした(おそらく、今も)。だから、いつ行っても閑散としていました。それはそれで、歴史的な風情を静かな雰囲気で味わえてよかったのですが、一方で「もったいないな」とも思ったのです。
 せっかく札幌市が税金を使って保存にこれ務めているオオヤケの施設です。「使ってこそ」の文化財ではなかろうか。古いモノは、「ただ」残っていればいいというものではあるまい。また、一見「ただ」残っているかに見えても、人知れないエネルギーが費やされていることもあります。
 文化財の場合、「使うこと」と「残すこと」は矛盾をきたすともいえます。使えば使うほど負荷がかかり、残すことに支障が生じる。そのバランスは必要です。旧三菱鉱業寮の場合、指定文化財ではありませんが事情は同じでしょう。
 このことを念頭に入れつつも、旧三菱鉱業寮の2階和室はほとんど空き部屋だったので、「もっと使われてもよかろうに」と私は思いました。来場者数が少なければ「税金を使って、残し続ける意味があるのか?」という声が起きても不思議ではありません。例えば建築上の価値があるとか、景観上の価値があるとか言っても、土地利用の経済的価値を引き合いにされるとどうか。いくら「カネに換えられない価値がある」といっても、なかなか議論にならない。そもそも、納税者の多くが「そんな建物、行ったことないな~」では、経済的価値至上論に敵いません。
 
 三菱鉱業寮の和室から、「もっと使ってもらってもいいですよ~」という声が私に聞こえてきました。
 まず足を運ぶ、知る、味わうことから始めよう。
 20年前、私は若かった。青かった。

 注:豊平館の場合、結婚式場に用いられていた。
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

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