札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2018/06/18

北光線(東8丁目通り) 東区最大のクランクの謎 ⑤

 6月11ブログの続きです。
 東8丁目通り(主要市道真駒内篠路線)は、東1丁目通り(市道幌北線)を基線として引かれたと思われます。両者の距離は915m(503間)。一つ考えられる根拠として‘71間基数説’を示しました。碁盤目街区60間+道路11間の、ほぼ7つ分に当たります。実際、現在は東1丁目から7丁目まで、碁盤目状に街区が形成されています。 
 しかし自分で示しておいて言うのも何ですが、私は‘71間基数説’説には懐疑的です。明治の早い時期からこのあたりに札幌の中心部と同じような碁盤目を想定していたとは考えづらい。明治期はおそらく、農耕地としての開墾を計画していたと思うのです。古い空中写真や地形図をたどると、このあたり(北12条以北の東1~7丁目)に碁盤目街区が仕切られていったのは戦後です。

 では、あらためて、東1丁目通り(市道幌北線)を基線とする現況915m(503間)は、何か?
 たびたび載せている古地図をまた見てみます。
札幌県石狩国札幌郡丘珠村札幌村全図 東8丁目通り
 「札幌県石狩国札幌郡丘珠村札幌村全図」(北大図書館蔵)です。
 1882(明治15)年の作成とみられるこの古地図に、東1丁目通りや東8丁目通りの原形とおぼしき道が「見込線」として描かれています(以下、煩雑を避けるため「原形とおぼしき道」は省略する)。黄色の矢印の先が前者、赤い矢印の先が後者です。

 全体を俯瞰すると、碁盤目は碁盤目ですがかなり広い間隔で引かれています。この地図の縮尺は「6厘:10間」すなわち「1:10,000(1㎝:100m)」です。東1丁目と東8丁目の間隔を測ると、8.65㎝。縮尺に照らすと865mです。間に換算すると476間。現況の両者の距離915mに比べると50m(約27間)ほど短い。
 現況との違いは気になるのですが、ともかくも500間近い間隔でほぼ正方形に区画されています。その正方形の一部に、黄色のベタで塗られています。画像では読み取れませんが、矩形に地割されて、それぞれに人名が記されています。これは1882(明治15)年時点で土地の払下げを受けたかまたはその予定の人の名前です(本年2月28日ブログ参照)。
 私は、この500間(またはそれに近い)四方の区画は、いわゆる「殖民区画」の萌芽ではなかったかと推測します。

 「殖民区画」とは何か。
 開拓使時代から三県時代にかけての移民は、開拓使の募集移民や士族の集団移住、屯田兵の移住が代表的だったが、道庁時代の開拓農村は、殖民区画制度の下で一般の農民移住によるものが主流だった。すなわち道庁設置と共に間接保護政策の下で国有未開地の払い下げ処分が活発に行われ、農業開拓の担い手となる北海道移民が増加したことに対応して、殖民地の選定作業が広く行われるようになった。殖民地とは、道庁があらかじめ調査した開墾予定地のことである、一八八六年から全道の大原野を中心に実施され、九六年までに百十一万七千七百五十一町歩を調査した。(『新版 北海道の歴史 下 近代・現代編』2006年、p.163)。

 殖民地の区画割りは、おおむね次のような手順で行われた。先ず基線を設け、これと直角に交わる基号線を引く。これに並行して三百間ごとに碁盤目状に区画道路を引き、この直角に交わる道路で区切られた三百間四方の一区画(中画、地積九万坪)を間口百間・奥行き百五十間の小画(地積一万五千坪、五町歩)六個に分割した。この小画が前述した開拓農家一戸分の経営面積となり、中画を九倍したものを大画(九百間四方、地積八十一万坪)と称したのである。(同書p.165)。

 前掲古地図は、開拓使時代の末期、1881(明治14)年頃の札幌の近郊の土地区画、払下げの状況を伝えたものです。三県時代を経て北海道庁が設置されたのは1886(明治19)年、「北海道土地払下規則」が公布され、殖民地選定事業が始まりました(末注)。
 本件約500間四方の区画は、道庁時代の殖民区画に先立つ開拓使時代の模索を示しているのではないでしょうか。

 注:北海道編『新北海道史年表』1989年、pp.260-264
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

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