札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。

2018/06/10

6月10日の記念樹を寿ぐ

 昨年の6月9日に母が退院して、1年が無事に過ぎました。
 母は、術後の経過は良かったものの、なにせ食が細く、経鼻栄養を続けていました。「このまま退院して経鼻をやめたら、てきめん衰弱する」と言われていたのですが、手術を成功裏に終えてくださったことに私は感謝しつつ、「もしものことがあっても、天命だと思います」と言って、退院させてもらいました。90歳。病院食で長らえるのと、拙宅に帰って好物だけで過ごして仮に余生を縮めたとして、どちらが幸せだろうと思ったのです。
 その後の母の復元力には、息子ながら感服します。退院後、週3回のデイサービスを一日も休まず今日に至りました。皆勤賞です。休んだのは、施設でインフルエンザが流行ったために自粛した一回だけ。それも、母自身は罹患せずに乗り切りました。齢90にして外国移住のような経験をして、しかも2か月入院しても変わらないでいてくれる母に、感謝します。変わらない日々、「ただ」居てくれるだけでありがたい。
 昨年は病室暮らしでしたが、今年はサクラやウメ、ツツジ、ライラックと、北海道の春から初夏を一緒に体感できました。ちなみに母は、セイヨウタンポポに感激しています。ひょろっと細長いのが、新鮮なようです。私には外来侵入種の権化にしか見えないのですが、内地人の母には異国的風物に映るのかもしれません。 
 
 さて、風物といえばこの時期、拙宅の近所で花咲かせる樹があります。
副都心百年の樹 2018
 「副都心百年の樹」です。

 この樹のことは昨年6月10日ブログで記しました。かねて気になっていた記念樹です。1年後の本日、傍らの銘鈑に書かれている説明文を、あらためて以下引用します。
副都心百年の樹 銘鈑 2018
 マロニエ Marronnier (トチノキ科セイヨウトチノキ)
 バルカン半島原産の落葉高木で紅葉が美しくヨーロッパでは街路樹として親しまれています。
 この樹は副都心とサンピアザの誕生を記念して姉妹都市ミュンヘン市から贈られたものです。
  1977.6.10 植樹           札幌市長 板垣 武四


 気になっていたのは、昨年記した「この樹はマロニエでよいのだろうか」、です。
副都心百年の樹 花 2018
 これはベニバナトチノキではなかろうか。

 このたび41年を記念して、専門家に確かめてみました。
マロニエとベニバナトチノキの違いは、その専門家のRさんがご自身のブログに書かれているので、そちらをご参照ください。

http://blog.sapporo-ryu.com/?eid=2249
http://blog.sapporo-ryu.com/?eid=1233

 やはり、本件はベニバナトチノキだったようです(末注①)。
 Rさんによると、この手の間違いはよくあるそうで、原因として以下のことが考えられるとおっしゃいました。
 ・本物が植えられたが、後年枯れた。→ 代わりに植える木を、植木屋さんが間違えた。
 ・姉妹都市からは目録だけ送られてきて、実物は地元(札幌)で調達することになった。→ 植木屋さんが樹種を間違えた。

 いずれにせよ、贈呈された札幌市(副都心公社)も幾星霜、重ねられてきました(末注②)。もしかしたら関係者は気づいたものの、「ま、いいか」ということで今日の日を迎えたのかもしれません。なぜか。
 マロニエという樹名が醸す憧憬的な響きが、そうさせた。おフランスの並木道。本件記念樹の銘鈑に、そのような日本的精神風土まで妄想してしまいます。そういえば、ここにかつてあったデパートは、名にし負うAU PRINTEMPSでした。
 念のため申し添えますが、私は鬼の首を取って「間違っとるじゃないか。ケシカラン」などと申すつもりはありません。それどころか、厚別ブラ歩きのネタが一つ増えたと秘かに悦んでおります。Rさんじゃないですが、コトここに至った時空をあれこれ逍遥するのが楽しいのです。などと記したら、不真面目と謗られましょうか。6月10日の目出度き日に免じてお許しください。

 注①:Rさん曰く「セイヨウトチノキを道内に植えられているのは見たことがありません」と。
 私は郷里(愛知県稲沢市)でマロニエの並木を見た。マロニエの花は、本件副都心百年の樹よりも、白っぽかった印象である。並木は、同市出身で戦前戦後をとおしておフランスで活躍した荻須高徳という画家を記念した美術館の前に植えられている。マロニエがバルカン半島原産と聞くと、そういえば同市はギリシアのオリンピアという古都と姉妹都市を提携している。我が郷里は全国的にも有数の園芸樹木、植木苗木の主産地なので、まあ間違えることはないと思うが。
 注②:『札幌副都心開発公社20年誌』1995年に、本件マロニエもといベニバナトチノキが植樹されたときの写真が載っている。高さ数十㎝の細い苗木であった。
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1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。

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