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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2018/06/03

鹿児島市維新ふるさと館で、黒田清隆と永山武四郎に逢う

 鹿児島の「維新ふるさと館」です。
鹿児島 維新ふるさと館 外観
 西郷らを生んだ加治屋町の一角にあります。明治維新、日本の近代化で薩摩がいかに大きな役割を果したか、縷々展示されています。

 一隅にあるジオラマの一つで、北海道開拓がテーマとして取り上げられていました。
維新ふるさと館 ジオラマ 黒田 永山
 黒田清隆と永山武四郎が登場します。札幌のまちづくりを語らっていました。

(ナレーション)
 明治の初め、北海道の開発を目的に設置された北海道開拓使。その要職者の多くは薩摩藩の出身でした。開拓使長官・黒田清隆、屯田事務局長・永山武四郎をはじめ、たくさんの薩摩隼人が未開の地の開発に情熱を注いでいたのです。
 
 黒田:それでね、永山君、次はこのあたりの開発に取りかからねばと考えているのだが。
 永山:わかりました。ここに屯田兵村(とんでんへいむら)を作りましょう。黒田さん、鹿児島での経験を札幌に生かして、立派な街を作り上げましょう。
 黒田:もちろんだ。何年かあとには、我々が計画したとおりの街が完成するんだ。
 永山:でも、最初はどうなるものかと思いましたよ。なにせここの寒さときたら、鹿児島と同じ日本とは思えないほどですから(建物の外で風が吹く音)。
 黒田:君たちのおかげで、荒れ野原だった札幌も、なんとか形ができてきたよ。開拓使十年計画も、ようやく軌道に乗ってきた。
 永山:そういえばビール工場の建設がそろそろ始まるらしいですね。
 黒田:ビール工場か。地図で見ると、ちょうどこのあたりだな。
 永山:いよいよ、国産ビールの誕生ですね。
 黒田:すべては村橋久成君の努力のたまものだ。夜も寝ずに研究をしていたからな。
 永山:彼は薩摩藩の留学生としてイギリスへ行ったときにビールの味を覚えたようで、その味が忘れられくてどうしてももう一度飲みたいと、ずっと思い続けていたみたいですね。
 黒田:まさに、信念の男だな。
 永山:薩摩隼人ですから。
 黒田:ビール工場に、ぶどう酒工場。そうだ、それに学校も作らねばならん。屯田兵の諸君にも頑張ってもらわねばな。
 屯田兵:はい。
 黒田:永山君、我々の仕事はまだまだこれからだ。
 永山:はい(一礼)。
 

 永山が屯田事務局長となるのは1878(明治11)年ですが(末注)、二人の会話はその内容からすると1875(明治8)年、ジオラマの風景からすると冬の1~3月かと想われます。
維新ふるさと館 ジオラマ 札幌
 場所は開拓使の官舎でしょうか。当時だと、洋風の縦長窓が一般的だと思いますが、ジオラマでは横長の窓で、しかも内側には障子が入っています。屯田兵村、1875(明治8)年の初期だとすると、琴似のそれか。ストーブが備えられていることからして、兵屋ではない。中隊本部(週番所)か。新琴似の中隊本部は縦長窓ですが、琴似はどうだったか。

 いや、…。
維新ふるさと館 ジオラマ 札幌 窓の外の風景
 窓の外に、白っぽい洋風の建物が見えます(黄色の矢印の先)。開拓使本庁舎でしょうか。後景に山並みが写っていることからすると、東側から本庁舎の正面を見た向きになりますか。距離的には本庁舎敷地内のようでもありますが、敷地内は果樹園などが設けられていたので、その外の「勅奏邸」あたりか。しかし、勅奏邸は写真(北大附属図書館蔵)で見ると、洋風縦長窓です。内部に置かれている質素なモノからしても、勅奏邸とは思いがたい。

 1840(天保11)年生まれの黒田が1837(天保8)年生まれで3歳年上の永山を「君」づけで呼ぶのも、開拓使での身分の上下関係によるのでしょう。薩摩藩当時、黒田は下級武士の出自でした。永山の家禄が黒田より上であればなかなか君づけはできなかったかもしれませんが、永山も低かったのかもしれません。 

 屯田兵村を語るくだりで、「鹿児島での経験を札幌に生かして、立派な街を作り上げましょう」と永山は言っています。やはり。

 見ていて興味の尽きないジオラマでした。一施設の一ジオラマだけでじっくり立ち止まってしまうので、時間はなんぼあっても足りません。

注:『新札幌市史 第八巻Ⅱ 年表・索引編』2008年、p.64
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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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