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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 胆振東部地震お見舞い

2018/01/21

北海道百年記念塔のサビ

 北海道百年記念塔は現在、落下物の危険のため、近くで立入りが禁止されています。
北海道百年記念塔 底部
 錆び朽ちた金属片が剥離して飛散するらしい。柵が設けられていて、これ以上近づけません。

 たしか、この塔の外壁には「コルテン鋼」が用いられていると聞いたことがあります。
北海道百年記念塔 ピロティ
 「耐候性高張力鋼板裸使用」。「錆による酸化被膜が保護膜となり、錆の進行を止める特徴をもつ」素材です(『さっぽろ文庫45 札幌の碑』1968年、p.143)。設計者の井口健氏はこれを採用した理由として、「当初求めたものは設計条件にあった100年という耐久年数が、一つの条件ではあった」と記しています(『建築画報』VOL.7第57号1971年6月、p.74、末注)。しかし、100年持たせるのは、実際には厳しい。

 井口氏は「記念塔の求めている精神性といった特質が、耐候性鋼の素材としての性格の中に見い出される」とも述べます(同)。最近新聞の投書欄で次のような意見を読みました(北海道新聞「読者の声」1月18日「アイヌ民族慰霊は木の塔で」、引用太字)。
 1970年に完成した道立野幌森林公園の北海道百年記念塔は鉄製だが、老朽化し見るに堪えない状況で立ち入りが禁止されている。
 2020年白老町に開設される「民族共生象徴空間」に高さ30mの鉄骨製の塔を建てるとの計画に異を唱えたもので、「自然との共生と相反する鉄製の巨大な塔」として本件記念塔が引き合いに出されています。 

 「見るに堪えない」か。人によって感性はさまざまですね。私は現地でこの塔を眺めたとき、“味”が出てきているなと感じたものです。語源が同じか知りませんが、“寂び”の域に達している。「無限性と生命力」(昨日ブログ参照)を表象したモノが、そのアンチテーゼを身を以て示しているといえなくもありません。この塔に「歴史性」を感じると昨日ブログで私が記したのは、その意味においてです。みずから、50年前の支配的思想が止揚される証左となっています。これは実物をもってしか感じることができません。

注:「北海道百年記念塔設計競技実施要領」の「設計条件」には、外部仕上げを「耐久性のあるもの、とくに凍害に耐えうること」とはあるが、「100年という耐久年数」は見当たらない(北海道百年記念施設建設事務所『北海道百年記念事業記録 資料編』1969年、pp.225-231)。
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keystonesapporo

Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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