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札幌時空逍遥

札幌の街を、時間・空間・人間的に楽しんでいます。 新型冠状病毒退散祈願

2015/08/11

‘木骨石造’考 ③

 北海道開拓の村にある木骨石造の倉庫です。
開拓の村 札幌拓殖倉庫 外観 妻面
  「札幌拓殖倉庫」1907(明治40)年築。元は札幌駅の北側にありました。

 かつての風景です(札幌拓殖倉庫『五十年小史』から抜粋)。 
拓殖倉庫 社史
 一番左端の棟が、開拓の村に移築されました。

 移築される直前の一時期(1980年代)、演劇などの空間として使われていました。「駅裏8号倉庫」です。「駅8」については2015.3.9~3.11ブログで記しましたので、興味ある方はご覧ください(カテゴリ:北区)。

 さて、今回のテーマは再び‘木骨石造’です。
 8月3日ブログで、「木骨石造=石造の安価な代用品」と記しました。安価である根拠は、軟石の厚みの違いです。普通は1尺×1尺ですが、木骨石造は1尺×0.5尺。半分にスライスする。

 では、この建物の場合はどうか。
開拓の村 拓殖倉庫 木骨石造
 軟石は1尺マッカクです。赤矢印線のところを見てのとおり、スライスされていません。これでは‘安価’にならないのではないか。

 この建物は、木骨構造を内部でそのまま見ることができます。昨日のブログに載せた石材と木骨をカスガイで留めた画像はこの建物の内部です。
 この建物は、スライスされていない分、もっとも頑強な作りだといえる。軟石が厚い分、保温効果も高い。本石造と同じ厚みで石を積んで、なおかつ木骨で支えている。一昨日の軟石建物ツアーの参加者のお一人が、そのことを端的に見抜いてくださいました(その方は、本ブログの読者の方でした。本ブログ自体はともかく、読者のレベルは高いので、ツアーのレベルが高いのもむべなるかな、です)。
 どうも、0.5尺厚=木骨石造、1尺厚=本石造と単純にはいえない。

 結論的に言いたいのは、木骨石造は「安価な代用品」という位置づけだけでは語れないのではないか、ということです。
 このことを強調するのには実はワケがあるのですが、本日はここまで。
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Author:keystonesapporo
1991年から札幌建築鑑賞会を続けてきました。
逍遥する時空:札幌、歴史、地形図、地理、地誌、地名、地形、地質、軟石、石蔵、硬石、採掘場、煉瓦、サイロ、腰折れ屋根、地神碑、墓地、旧河道、暗渠、メム、古道、微地形、高低差、クランク、境界、橋、歩道橋、電柱、バス停、踏切、古レール、神社の玉垣、小祠、二宮金次郎、戦跡、古い樹、河川網図、都市計画図、住宅地図……

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